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NGO共同声明「住友商事の新石炭火力方針には依然として抜け穴が ~マタバリ3&4号機の建設工事入札への不参加を~」を発表

投稿日:2021年05月10日

NGO共同声明:住友商事の新石炭火力方針には依然として抜け穴が
~マタバリ3&4号機の建設工事入札への不参加を~

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
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5月7日、住友商事が「気候変動問題に対する方針」(※1)を見直し、「石炭火力については、新規の発電事業・建設工事請負には取り組まない」ことを表明しました。しかし、「当社が建設請負工事業者として現在参画しているバングラデシュ マタバリ1&2の拡張案件として同国・本邦政府間で検討が進められているマタバリ3&4号機については、今後、様々なステークホルダーと対話を重ね、パリ協定との整合性を確認したうえで、参画の是非を検討する」という例外規定が含まれています。私たち環境NGOは、住友商事に対して、マタバリ3&4号機の建設請負工事の入札に参画しないよう、強く求めます。

欧州の研究機関であるクライメート・アナリティクスによれば、気候変動対策の国際的な枠組みであるパリ協定の1.5度目標を達成するためには、先進国では2030年までに、途上国であっても2040年までに石炭火力発電所の運転を完全に停止する必要があります(※2)。2028年に運転開始を予定しているマタバリ3&4号機は2040年を大幅に超過して運転される可能性が高いことから、パリ協定1.5度目標と整合しないことは明らかです。

バングラデシュではすでに電力供給が過剰状態にあることが指摘されており、新規の大規模発電所の建設には疑問が投げかけられています。バングラデシュの電力エネルギー資源鉱物省の報告書「Revisiting PSMP 2016 (2018年11月発表)」(※3)によれば、今後、同国の供給予備率は2026年に最大で69%に達すると想定されており、想定供給予備率は目標供給予備率を2041年までに一貫して上回ると予測されています。米国シンクタンクであるエネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)が2021年1月に発表した報告書(※4)には、バングラデシュにおける2019-2020年度の電力使用率は前年度の43%から40%に低下し、同国の電力供給過剰状態が悪化していることが明らかにされています。IEEFAは、今後の発電量の伸び率が年間10%以上に維持されない限り、今後5年間で使用率が40%を下回ると予測しており、新規の発電所建設は国営バングラデシュ電源開発公社(Bangladesh Power Development Board)の財政負担や発電コストに重大な影響を及ぼすと述べています。

さらに、バングラデシュでは、マタバリ1&2号機の工事により、40世帯以上が住民移転を強いられた他、塩田やエビの養殖で生計を立てていた多くの住民が失業し、補償支払の遅延や代替住宅提供の遅延などにより、生活が苦しくなっています。水路や水門の破壊に伴う浸水害の悪化、コミュニティ道路の破損、交通事故の増加、河川への土砂流入・堆積の問題も生じています。また、アクセス道路の工事に伴い、環境アセスメント報告書では想定されていない工事の影響、浚渫土の投棄により川が埋まる事態も生じている(※5)ことから、国際協力機構(JICA)の環境社会配慮ガイドラインが遵守されていません。

したがって、住友商事はマタバリ3&4号機の建設請負工事の入札に参画するべきではありません。また、現在、3&4号機のフィージビリティ調査を実施しているJICAは、3&4号機の融資検討をやめるべきです。

また、方針で示した「2040年代後半には全ての事業を終え石炭火力発電事業から撤退する」という取り組みのスピードでは遅いということを認識し、再度方針を見直すべきです。住友商事が出資し、ベトナムで建設中のバンフォン1石炭火力発電所やインドネシアで建設中のタンジュン・ジャティB石炭火力発電所5・6号機は建設を中止し、稼働中のタンジュン・ジャティB 1〜4号機は早期に運転停止すべきです。

3月29日、環境NGOマーケット・フォースのスタッフは、住友商事に対してパリ協定の目標に沿った事業戦略の開示を求めて株主提案を行いました(※6)。今回の方針見直しの内容は不十分であるため、6月の株主総会で住友商事及び株主は、同提案に賛成すべきです。

脚注:
※1:https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2021/group/14700
※2:https://climateanalytics.org/briefings/coal-phase-out/
※3:https://powerdivision.portal.gov.bd/sites/default/files/files/powerdivision.portal.gov.bd/page/4f81bf4d_1180_4c53_b27c_8fa0eb11e2c1/Revisiting%20PSMP2016%20%28full%20report%29_signed.pdf
※4:https://ieefa.org/ieefa-bangladeshs-power-system-overcapacity-problem-is-getting-worse/
※5:https://www.thedailystar.net/frontpage/news/the-killing-kohelia-2033253
※6:https://www.nocoaljapan.org/ja/sumitomo-corporation-to-face-shareholder-resolution-at-its-agm-over-climate-inaction/

本件に関するお問い合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、担当:田辺
tanabe@jacses.org

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