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豪州ウェイトシア2ガス採掘事業におけるJBIC環境社会配慮ガイドライン不遵守の是正と再発防止策の徹底を求める要請書

投稿日:2021年07月12日

国際協力銀行
代表取締役総裁 前田匡史 様

豪州ウェイトシア2ガス採掘事業における
JBIC環境社会配慮ガイドライン不遵守の是正と再発防止策の徹底を求める要請書

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
国際環境NGO FoE Japan
メコン・ウォッチ

国際協力銀行(JBIC)が本年6月29日に融資の意思決定を行ったオーストラリアのウェイトシアガス田・ステージ2採掘事業(以下、ウェイトシア2)について、以下で述べる通り、『環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン』(以下、JBICガイドライン)で規定されている「ステークホルダーから提供される情報を活用した環境レビュー」が行われていなかったことが判明した。私たちは、このJBICガイドラインの不遵守について速やかな是正措置を求めるとともに、今後の再発防止策の策定及び徹底を求めるため本要請書をJBICに提出する。

本年5月27日、オーストラリアの環境NGOであるConservation Council of Western Australia(CCWA)は、ウェイトシア2に関する問題点をまとめた書簡及び動画の情報をJBICの環境社会配慮に関する情報提供を受け付けるためのメールアドレス等(※1)に送付し、JBICに意見交換を求めた。同書簡では、ウェイトシア2に係る環境社会面での懸念点が示されていた他、JBICへの提言として同事業への融資を行わないことが求められていた。しかし、その後、CCWAにはJBICから何ら連絡もないまま、6月29日にJBICはウェイトシア2に係る貸付契約の締結を発表した(※2)。

7月6日、オーストラリアのNGOから確認を求められた「環境・持続社会」研究センター(JACSES)が上記CCWAによる5月27日付のメールについてJBICに問い合わせたところ、JBICはこのメールを受領していないとのことであり、セキュリティシステムの関係で弾かれてしまった可能性があるとのことであった。なお、CCWAに対しては、上記メールの送信後、送信エラー乃至メール不達等の通知は届いていなかった。

JBICガイドラインでは、「3. (3) 環境社会配慮確認に要する情報」において、「当行は、借入人等から提供される情報のみならず、相手国政府及びその機関、協調融資を行おうとしている融資機関、ステークホルダーから提供される情報の重要性を認識し、これらも活用してスクリーニング及び環境レビューを行う。」と規定されている。今回、ウェイトシア2の環境レビューにおいてステークホルダーからの情報が活用されなかったことは、明らかにJBICガイドラインの不遵守である。

また、JBICガイドラインの「5. (1) 基本的考え方」では、「これら関係機関、ステークホルダーからの情報提供が早期に行われることを促進するとともに、環境レビューのアカウンタビリティ及び透明性を確保するため、当行は、環境レビューに関し重要な情報につき、環境レビュー期間中に、プロジェクトの性格に応じた適切な方法により公開する。」と規定されている。しかし、今回、「ステークホルダーからの情報提供が早期に行われることを促進する」ために設けられているはずのメールアドレスに現地ステークホルダーが情報を提供したにもかかわらず、それがJBICの融資に係る意思決定前に受領されていなかったことから、ステークホルダーからの情報提供を受けるためのJBICの現行体制が、JBICガイドラインの適切な運用に支障をもたらしてきた/もたらす可能性を否定できない。

したがって、私たちは、現地ステークホルダーの情報提供がJBICの融資の意思決定前に活用されなかった今回の事態について厳重に抗議するとともに、JBICに対して、以下の点を要請する:

  1. JBICはオーストラリアのNGOと対話を行い、環境社会配慮上の指摘事項について環境レビューを再度実施すること。環境レビューでJBICガイドラインの要件を満たしていることが確認されるまで、ウェイトシア2への貸付実行を停止すること。
  2. JBICは、JBICガイドラインの適切な運用のためにも、ステークホルダーの情報提供を滞りなく確実に受けることができるよう、適切な再発防止策を講じること。現行のメールアドレスによる情報提供に加えて、フォーム等でも情報提供できるようにするなど、画像や映像も含めた情報提供を国内外のステークホルダーが確実に行える体制を整えること。
  3. 本要請書は、現在、JBIC及びNEXIが実施している環境社会配慮ガイドラインの改訂に向けたコンサルテーションにおけるNGOからの追加資料として、JBICウェブサイト(※3)に掲載し、上記2の提案について、論点8として追加すること。

 

脚注:
※1:送付先メールアドレスはkankyo-hairyo@jbic.go.jp、fdi@jbic.go.jp、sinsayaku@jbic.go.jpの3つ。
※2:https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2021/0629-014941.html
※3:https://www.jbic.go.jp/ja/business-areas/environment/business.html

本件に関する問い合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、田辺有輝
tanabe@jacses.org

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