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プレスリリース:JICAはバングラデシュにおいてマタバリ2石炭火力の支援をやめ、再エネ中心の電力マスタープラン作成を支援すべき~米シンクタンクが提言

投稿日:2022年02月21日

2022年2月21日

プレスリリース:JICAはバングラデシュにおいてマタバリ2石炭火力の支援をやめ、再エネ中心の電力マスタープラン作成を支援すべき~米シンクタンクが提言

米国シンクタンクのエネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)(※1)が2月11日に発行した報告書「Bangladesh Power Development Board Financial Results FY2020-21 Growing Independent Power Plant Costs Threaten to Overwhelm Power System(※2)」の日本語訳「バングラデシュ電源開発公社の2020-21年度財務実績~独立系発電事業者(IPP)による事業で膨れ上がるコストとそれにより押しつぶされる電力システム~」(PDF)を公開しました。

近年、バングラデシュでは、電力設備の過剰、稼働中の電力容量支払額の上昇、価格変動が激しい化石燃料への依存度が高いことが要因となり、バングラデシュ電源開発公社の財政状況が急速に悪化しています。赤字を賄うため同公社に供与された政府補助金は、2020-21年度に過去最高額である約1,178億タカ(約1,600億円)を記録し、2022年1月には、3,250億タカ(約4,400億円)の赤字を賄うため最大64%の電気料金の引き上げが提案されています。

同報告書は、バングラデシュが石炭やLNG等の輸入化石燃料に依存する限り、さらに巨額の政府補助金が必要となり、電気料金の高騰をもたらすと警鐘を鳴らしています。このような状況を回避するには、現在、国際協力機構(JICA)が作成支援中(※3)の、同国の統合エネルギー・電力マスタープランにおいて、輸入に依存する化石燃料ではなく、再生可能エネルギーの利用を拡大させる野心的な目標を反映させ、電力網への投資を促す内容にすることが必要であると指摘しています。

また、バングラデシュの電力供給能力が過剰な状態にあること受け、2025年にかけての発電容量の導入の制限や、IEPMPにおいてJICAが現実的な電力の成長予測を採用する必要があり、未着工の発電所の建設計画を中止する必要があると提言しており、マタバリ石炭火力発電事業フェーズ2をはじめとするあらゆる新規の石炭火力発電計画もその例外ではないと指摘しています。

報告書の著者、IEEFAのサイモン・ニコラス(※4)は、「(JICA支援による)新たな電力マスタープランの立案では、計画中のLNG火力発電所および石炭火力発電所の建設を中止し、長期にわたって経済的に持続可能な電力システムを構築する計画に組み直す必要があります」と述べています。

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)の田辺有輝は、「JICAはマスタープランの策定時に、市民社会の意見を十分に反映し、化石燃料に依存しない計画を策定することが必要です。JICAが分析した同国の2041年の電力需給シミュレーションでも、調整力の低い石炭火力発電等が要因となって日中に大きな供給過剰が生じることになると予測されています。このような状況で日本政府・JICAがマタバリ超々臨界圧石炭火力発電事業(フェーズ2)への支援を行うことは、著しく経済合理性を欠いています」と述べています。

※1:エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)は、エネルギーと環境に関連した金融・経済問題の国際的な研究を行っています。多様性、持続可能性、収益性に富むエネルギー経済への移行を加速させることを団体のミッションに掲げています。
※2:IEEFA, Bangladesh Power Development Board Financial Results FY2020-21 Growing Independent Power Plant Costs Threaten to Overwhelm Power System
https://ieefa.org/wp-content/uploads/2022/02/Bangladesh-Power-Development-Board-Financial-Results-FY2020_21_February-2022.pdf
※3:JICAは、バングラデシュのエネルギーの安定供給および経済合理性の確保を前提とした低・脱炭素エネルギー受給システムの構築を目標とした統合エネルギー・電力マスタープランの策定の支援を提供しています。協力期間は、2021年6月22日から2024年1月31日で、プランの策定にあたって、日本エネルギー経済研究所(IEEJ)が業務を受注しています。しかし、同研究所の理事長は経済産業省出身者が続いており、同マスタープランの内容が化石燃料発電を重視するものになる可能性があります。
※4:サイモン・ニコラスは、IEEFAのエネルギーファイナンス・アナリストで、オーストラリア在住。ロンドンのインペリアル・カレッジを優等学位で卒業。イングランド・ウェールズ勅許会計士協会フェロー。ロンドンとシドニーにて、ABNアムロ銀行、マッコーリー銀行、オーストラリア・コモンウェルス銀行に勤務し、金融部門に16年間携わってきました。

日本語版レポートに関するお問い合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、担当:田辺
メール:tanabe@jacses.org

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