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プレスリリース「化石燃料への保険引受方針等に関する世界の保険会社ランキング2022を発表~日本の保険会社間ではSOMPOが逆転トップに、MS&ADは最下位転落~」を発表

投稿日:2022年10月19日

2022年10月19日

プレスリリース
化石燃料への保険引受方針等に関する世界の保険会社ランキング2022を発表
~日本の保険会社間ではSOMPOが逆転トップに、MS&ADは最下位転落~

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
Insure Our Future

環境NGOの国際ネットワーク「Insure Our Futureキャンペーン(※1)」が世界の大手保険会社30社の化石燃料事業への保険引受等に関するランキング2022年版(PDF)(※2)を発表した。日本の大手損害保険会社では、SOMPOが15位、東京海上が16位、MS&ADは18位となった。2021年スコアリングでは東京海上が15位、MS&ADが17位、SOMPOが21位だったので、SOMPOが逆転トップになり、MS&ADが最下位に転落した。

石炭関連事業への保険引受停止を掲げた保険会社は世界全体で41社(ランキング対象外企業を含む)になり、これらの保険会社は元受保険市場の39.3%、再保険市場の62.1%を占めている。石油・ガス事業の保険引受方針については、昨年度のスコアカード発表時において保険引受停止を表明していた保険会社は僅か3社だったが、現時点でアリアンツやミュンヘン再保険、スイス再保険を含む13社が保険引受を制限しており、これらは元受保険市場の14.9%、再保険市場の37.6%を占める。さらに、オイルサンド開発・北極圏での石油事業への保険引受を制限した保険会社を合算すると、石油・ガス事業に関して制限を設けた保険会社は22社になる。

昨年度のランキングで21位のSOMPOは、今年5月にオイルサンド開発、北極野生生物国家保護区でのエネルギー採掘事業への新規保険引受の停止を発表し(※3)、6月には、2025年1月までに温室効果ガス(GHG)削減効果の策定がない「石炭事業を主業とする企業」等の保険引受・投融資を停止する方針を策定した(※4)。制限対象に含まれる企業のしきい値が実際に石炭事業を拡大している企業の半数程度しかカバーできないとされる30%であることや(※5)、停止対象のGHG削減計画の内容に具体的な要件が設定されていないこと等、依然として内容に課題はあるものの、いずれも日本の金融機関で初となる取り組みであり、日本の保険会社間の順位が逆転した。

一方、東京海上は、今年9月にオイルサンド採掘における新たな取引や、北極野生生物国家保護区を含む、北緯66度33分以北の地域での石油・ガス採掘における新たな取引の原則禁止を発表したが(※6)、SOMPOのような企業単位で保険引受を制限する方針の策定には至っていない。MS&ADは、今年6月に自社の保険引受方針を改訂し、既設の炭鉱(主に一般炭)の開発・運営に関する新規保険引受の停止を新たに発表したものの(※7)、新設の炭鉱開発に関しては保険を引き受ける余地を残していることや、石油・ガス事業については何も制限する方針を発表しておらず、日本の保険会社間で最下位となった。

Net-Zero Insurance Alliance(以下、NZIA)に加盟する29の保険会社は、国連が支援する気候変動対策キャンペーン「Race to Zero」が今年6月に発表した新基準のもとで、排出削減対策が講じられていない全ての化石燃料事業を段階的削減あるいは撤廃する必要がある。日本のSOMPO、東京海上、MS&ADのようなNZIAに加盟している企業は、来年6月までに、石炭を含む、削減対策が講じられていない新規化石燃料事業からフェーズアウトすることが求められている。

注:
※1:本キャンペーンは保険会社に対して化石燃料関連事業への引受や投融資を停止するよう求める国際キャンペーンで、2017年より毎年ランキングを発表している。JACSES、350.org、The Sunrise Projectを含む、NGO27団体が参加している。
※2:英語版は、以下URLからダウンロード可
https://global.insure-our-future.com/2022-scorecard/
※3:https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/doc/pdf/ir/2022/20220527.pdf?la=ja-JP
※4:https://www.sompo-hd.com/-/media/hd/files/news/2022/20220628_1.pdf?la=ja-JP
※5:ドイツの環境NGOウルゲバルトは、30%のしきい値では実際に石炭事業を拡大している企業の半数程度しかカバーしないため、石炭事業に関与する企業のデータベース『Global Coal Exit List(GCEL)』の対象企業になるしきい値を30%から20%に厳格化している。詳細は以下のURLを参照。https://www.coalexit.org/methodology
※6:https://www.tokiomarinehd.com/release_topics/release/l6guv3000000fyvm-att/20220930_Climate_Strategy_j.pdf
※7:https://www.ms-ad-hd.com/ja/csr/summary/materiality.html

本件に関するお問い合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、担当:田辺
メール:tanabe@jacses.org

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