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プレスリリース「韓国の大手保険会社が石炭火力への関与を断ち切る」を発表

投稿日:2021年06月23日

プレスリリース:
韓国の大手保険会社が石炭火力への関与を断ち切る

韓国の大手損害保険会社である DB損害保険、現代海上火災保険、ハンファ・ジェネラル・インシュアランス、ハナ・インシュアランスは石炭火力発電所の建設及び運転向けの保険を引き受けないと発表しました。これら4社は、韓国の保険会社による520億米ドルの石炭への引受総額の約半分を占めています。

6月22日、アントニオ・グテーレス国連事務総長が今月の初めに行われた保険開発フォーラムで化石燃料への保険引受を停止するよう保険会社に要請した後、韓国の大手保険会社は石炭火力発電事業への新たな保険引受を避ける動きを見せています。市民団体からの働きかけを受けて、現代海上火災保険、ハナ・インシュアランス、DB損害保険、ハンファ・ジェネラル・インシュアランスは新規石炭火力発電事業の建設及び運転に保険を引き受けないことを発表しました。

2030年までに韓国で石炭火力廃止を求めるNGOと市民団体のネットワークである「コリア・ビヨンド・コール」は、国際的なキャンペーンである「Insure Our Future」とともに、石炭火力発電所への約520億米ドルの投資または引受をした国内トップ11の損害保険会社に対して、石炭火力発電事業(韓国で最後の石炭火力発電事業である三陟市のブルーパワープロジェクトを含む)への引受をやめるよう求めてきました。 

この要請に対し、韓国の保険市場で石炭への引受総額の約半分をカバーする現代海上火災保険、ハナ・インシュアランス、DB損害保険、ハンファ・ジェネラル・インシュアランスは、同国において石炭火力発電所の建設及び運営の両方への引受撤退を約束した最初の損害保険会社4社になりました。韓国で石炭への保険の引受が2番目に大きいDB損害保険は、既存の保険の適応範囲を石炭火力発電所の運転への保険引受からも段階的に停止することを述べました。他の2社 — NH損害保険及びサムスン火災海上保険 — は、新規石炭火力発電所の建設は引き受けないと発表したものの、運転に関する引き受けについては何も約束しませんでした。

韓国の国会議員であるイ・ソヨン議員の事務所によれば、大手保険会社による石炭への引受額は59.2兆ウォン(約522億米ドル)を超えています。以下のリストでは、石炭火力発電所への引受額が132億米ドルであるサムスン火災海上保険が石炭へ保険を提供している最大の保険会社であることが分かります。サムスン火災海上保険は、建設保険のみを引受対象から除外しているため、新たな石炭火力発電事業が商業運転を開始すれば、石炭への関与が増大する可能性があります。また、2019年に石炭からのダイベストメントを約束した最初の韓国の民間金融機関の1つであるDB損害保険の引受額は105.6億米ドルで、石炭への引受額が2番目に大きい保険会社になります。


【出典】イ・ソヨン議員の事務所。国内トップ11の損害保険会社の石炭火力発電所への引受額。

すでに石炭からのダイベストメントを約束している別の金融機関であるKB損害保険は、他の4社とともに(フングク火災海上保険、MG損害保険、メリッツ火災海上保険、ロッテ損害保険)、今後の石炭火力発電事業への引受方針についてコメントを控えています。

 現在、韓国では新たに7つの石炭火力発電所が建設中であり、内3つは今年末までに運転を開始する予定です。新規石炭火力発電事業は、同国の2030年までの排出目標及び2050年までのネットゼロ目標を達成するための大きな障害です。これらの事業が保険の提供を受けられるかどうかは、その実行可能性だけでなく、現在の気候目標を達成し、それらを強化する韓国政府の能力にも大きな役割を果たします。韓国の最後の石炭火力発電事業である三陟市のブルーパワープロジェクト(計2,100MW)が30年間稼働した場合、韓国は2054年までに石炭火力を段階的に廃止することになり、これは2050年のカーボンニュートラル宣言に反します。

韓国の保険会社の石炭からの移行について、Solutions for Our Climate の 気候ファイナンス・リサーチャーである Yuan Pengは、次のように述べました。

「韓国の4大保険会社である現代海上火災保険、DB損害保険、ハナ・インシュアランス、ハンファ・ジェネラル・インシュアランスの脱石炭方針は韓国での大きな一歩であり、韓国の石炭保険会社カルテルの崩壊をほのめかしている。韓国の保険会社は、リスクを最小限に抑えるためのコンソーシアムとして、石炭火力発電所のようなリスクの高いプロジェクトに参加する傾向があります。4つの保険会社が石炭市場から脱落するということは、残りの保険会社の責任がさらに高くなることを意味し、関係するすべての人にとって石炭事業を望ましくないものにします。

気候変動は保険会社によって深刻な経済リスクです。自然災害の激しさと頻度の増加に伴うコストは、最終的にこれらの保険会社の手に委ねられます。これは、アリアンツ、アクサ、スイス再保険等の大手保険会社が石炭火力発電事業への保険引受を止めると約束した理由の1つです。これらの明らかなリスクを前に、私たちは残りの韓国の保険会社に対して石炭への引受を停止し、韓国での石炭の段階的廃止を促進する上でより積極的な役割を果たすことを強く求めます。」

Insure Our Future の主要組織であるSunrise Project のサステナブルファイナンス・アドバイザーである Minyoung Shinは、次のように述べました。

「現代海上火災保険、DB損害保険、ハナ・インシュアランス、ハンファ・ジェネラル・インシュアランスが石炭からの撤退を決定したことを歓迎します。また、韓国の保険会社の間で主導権を握り、新規及び計画中の石炭事業に加え、既存の石炭事業の運営へのカバーも段階的に停止する DB損害保険を特に称賛します。次のステップとして、4社すべてに脱石炭方針の詳細を開示し、そのコミットメントを実行に移すことを要請します。サムスン火災海上保険については、同社の脱石炭方針が新規石炭火力発電所の建設に限定されていることを残念に思います。韓国では新規石炭火力発電所の建設保険が基本的に存在しないため、この方針は無意味です。私たちはサムスンに対して、私たちの社会と気候を危険にさらすことをやめ、代わりに石炭事業に終止符を打つよう求めます。」

  「環境・持続社会」研究センター(JACSES)のプログラム・ディレクターである田辺有輝は、次のように指摘しました。

「日本の大手損害保険会社である東京海上、MS&AD、SOMPOは、原則として石炭火力発電事業への保険引受や投資を行わない方針を採用していますが、これらの方針には多くの例外が含まれており、パリ協定の目標と不整合です。少なくとも、日本の損害保険会社は韓国の保険会社にならい、石炭へ依存する最後の世界的な保険会社にならないよう、石炭方針を強化し、石炭への引受を直ちに停止する必要があります。」

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Solutions for Our Climate (SFOC)は韓国を拠点とする環境団体であり、より強力な気候変動対策と電力規制の改革を求めています。SFOCは、エネルギー及び気候政策に関連する警官がある法律、経済、金融、環境の専門家によって率いられており、政策立案者と緊密に連携しています。

Insure Our Future は気候危機における役割について保険会社に責任を課す環境、消費者保護、草の根の団体や組織で構成されているキャンペーンです。

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本件に関するお問い合わせ先:

Jee-Yeon Song, Communications Officer, Solutions for Our Climate,
jeeyeon.song@forourclimate.org

 Camilla Schramek, Senior Communications Campaigner, The Sunrise Project, camilla.schramek@sunriseproject.org.aua

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、担当:田辺
tanabe@jacses.org

 

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