開発と援助

SOMPOに対して化石燃料事業への保険引受等の停⽌に向けたエンゲージメントを求める要請書を62金融機関に送付

投稿日:2022年02月08日

2022年2月8日、環境NGO5団体がSOMPOホールディングス株を保有しているとみられる62金融機関に対して、要請書(PDF)を送付しました。

2022年2月8日
SOMPOホールディングス株主の皆様

SOMPOに対して化石燃料事業への保険引受等の停⽌
に向けたエンゲージメントを求める要請書

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGO 350.org Japan
メコン・ウォッチ

私たち環境NGOは、国内外の金融機関に対して化石燃料事業への支援停止を働きかけてきました。パリ協定の長期目標を達成し、1.5度の経路に沿うためには、石炭火力発電所のみならず、石油やガスを含めた新規化石燃料事業への支援を停止し、既存の化石燃料生産への支援をフェーズアウトする必要があります。金融機関が化石燃料事業の投融資を停止することに加え、損害保険会社による保険引受の停止が、極めて重要な役割を果たすと考えています。

そこで、この度、株主の皆様に、日本の大手損害保険会社であるSOMPOホールディングス株式会社(以下、SOMPO)に対して、化石燃料事業への保険引受等からの撤退を求めるエンゲージメントをお願いしたく、SOMPOの株式を保有しているとみられる金融機関62社に対して本要請書をお送りさせて頂きます。

SOMPO、東京海上、MS&ADは2020年9月に原則として新規石炭火力発電事業への保険引受や投融資を行わない方針を発表しました。当初、3社はいずれも例外規定を幅広く設定していたものの、2021年6月にMS&ADは今後計画される石炭火力発電への保険引受について引受を全面停止する方針(※1)を発表。さらに、2021年9月には東京海上がCCS/CCUSや混焼などを例外規定として残しつつも、新設および既設にかかわらず新規の保険引受を行わない方針(※2)を発表しました。一方で、SOMPOは、いまだに曖昧かつ幅広い解釈が可能な例外規定を設けています。

昨年5月に国際エネルギー機関(IEA)が発表した報告書「Net Zero by 2050, A Roadmap for the Global Energy Sector」によれば、2050年までにネットゼロを達成するためには、2021年の段階で、新規の化石燃料採掘事業は行うべきではなく、発電セクターにおいては全世界で2040年に温室効果ガスの排出量をネットゼロにする必要があります(※3)。したがって、石炭採掘・石炭火力発電のみならず、石油・ガスを含めた化石燃料の生産・輸送・発電事業の保険引受停止が必要です。

いまだに石炭火力発電への保険引受に例外規定を設け、他の化石燃料関連事業についての保険引受・投資については方針を示していないSOMPOは、パリ協定の長期目標と整合していない状況です。

環境NGOの国際ネットワークである「Insure Our Future キャンペーン(※4)」は、昨年11月に世界の大手保険会社30社の石炭・石油・ガスへの保険引受、投資撤退、および気候変動対策に関するランキングを発表しましたが、東京海上(16位)、MS&AD(17位)にやや遅れをとり、SOMPOは30社中21位との結果でした。SOMPOが化石燃料への投資に何の制限も設けていないこと、新規石炭事業への保険引受に非常に曖昧な方針を採用していること、化石燃料会社からの投資撤退の動きが全く見られなかったことが指摘されています(※5)。

一方、ランキングの上位にはアリアンツ、アクサ、アクシスキャピタルなど欧州の保険会社が昨年に引き続き名を連ねています。上位3社は、新規及び既存の石炭関連事業の保険引受停止に加えて停止対象を事業から企業レベルに拡大し、一定の割合の収益や発電シェアを石炭事業から得ている企業を保険引受の対象外とすることを発表しています。ランキング2位のアクサは、2021年10月に大手保険会社では初となる包括的な石油・ガス停止方針を掲げ、在来型石油・ガスについて移行計画が無い企業における新規石油採掘事業の保険引受の停止、さらに2022年以降の北極圏での採掘活動やオイルサンド、シェールガス等の非在来型石油・ガスについても保険引受の制限を強化することを表明しています(※6)。

つきましては株主の皆様に、SOMPOに対して2022年6月の同社株主総会までに、以下のエンゲージメントを行うことを要請させて頂きます。

  1. 石炭火力発電事業への保険引受方針から例外規定をなくし、引受を完全停止すること。
  2. 石炭火力発電事業のみならず、石炭採掘、タールサンド事業、石油・ガス事業の保険引受を停止すること。
  3. Global Coal Exit List(※7)を参照しつつ、石炭火力発電への依存が高い企業や新規石炭火力発電事業を計画中の企業に対する保険引受、株式や債券投資を停止すること。
  4. Global Gas Exit List(※8)を参照しつつ、新規石油・ガス事業を計画中の企業等への保険引受、株式や債券投資を停止すること。

本要請書とともに、上記で記した Insure Our Future キャンペーンの2021年度ランキングのスコアカートレポート「Insuring Our Future: The 2021 Scorecard on Insurance, Fossil Fuels and Climate Change」の日本語訳(邦題:未来に保険をかける〜保険会社の化石燃料・気候変動対策スコアカード2021〜)を同封いたしますので、是非ご参照ください。

また、大変お忙しい中、誠に恐縮ではございますが、本要請に対する貴機関の対処方針・ご意見等を以下の担当者宛に3月8日までにお送り頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。

本要請書に関するご返答・お問合せ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、田辺有輝
tanabe@jacses.org

脚注:
※1:https://www.ms-ad-hd.com/ja/news/news_topics/news_topics-20210625/main/0/link/20210625_msad_2050zero2_2.pdf
※2:https://www.tokiomarinehd.com/release_topics/release/l6guv3000000dffl-att/20210930_Climate_Strategy_j.pdf
※3:International Energy Agency (IEA), (2021), Net Zero by 2050, A Roadmap for the Global Energy Sector, p. 20, IEA, Paris,
https://iea.blob.core.windows.net/assets/0716bb9a-6138-4918-8023-cb24caa47794/NetZeroby2050-ARoadmapfortheGlobalEnergySector.pdf
※4:本キャンペーンは保険会社に対して化⽯燃料関連事業への引受や投融資を停⽌するよう求める国際キャンペーンで、2017年より毎年ランキングを発表しています。NGO19団体が参加しています。詳しくは、https://insureourfuture.co/をご参照ください。
※5:他社との比較におけるSOMPOのスコア詳細については、 https://insure-our-future.com/scorecardの“Methodology”セクションをご参照ください。
※6:https://www-axa-com.cdn.axa-contento-118412.eu/www-axa-com/7d8be57f-680a-4311-aa73-fb2858b29576_AXA+extends+its+Oil+and+Gas+exclusions+to+support+the+energy+transition.pdf
※7:Global Coal Exit List とはドイツの環境NGOのウルゲバルト(Urgewald)が⽯炭関連事業に関与する企業を包括的にまとめたデータベースです。詳しくは、https://coa lexit.org/をご参照ください。
※8:詳しくは、https://gogel.org/をご参照ください。

本要請書の送付先金融機関リスト
国内の金融機関:
三井住友トラスト・ホールディングス株式会社
野村ホールディングス株式会社
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
⼤和証券株式会社
株式会社千葉銀行
株式会社みずほフィナンシャルグループ
株式会社十六銀行
株式会社八十二銀行
株式会社青森銀行
株式会社百十四銀行
株式会社四国銀行
株式会社百五銀行
株式会社京葉銀行
株式会社滋賀銀行
日本生命保険相互会社
株式会社三井住友フィナンシャルグループ
明治安⽥⽣命保険相互会社
農林中央金庫

海外の金融機関:
Corsair Capital Management
Government Pension Fund Global
Vanguard
BlackRock
​​Principal Financial Group
T. Rowe Price
Causeway Capital Holdings
Fidelity International
Geode Capital Holdings
Deutsche Bank
UBS
California Public Employees’ Retirement System (CalPERS)
TIAA
Pictet
CPP Investment Board
Baillie Gifford
Dimensional Fund Advisors
State Street
Charles Schwab
Pensioenfonds Zorg en Welzijn (PFZW)
Morant Wright Management
Marathon Asset Management (UK)
Credit Suisse
BNP Paribas
Northern Trust
Deka Group
Bank of New York Mellon
Crédit Agricole
AXA
Allianz
Legal & General
Société Générale
Zürcher Kantonalbank
Skandinaviska Enskilda Banken
Svenska Handelsbanken
Storebrand
Danske Bank
Aviva
Nykredit Group
Kommunal Landspensjonskasse
DNB
NN Group
Awedbank
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