ブリーフィングペーパー「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による石炭関連投資の実態」を発表
世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による石炭関連企業への投資実態を調査したところ、2016年3月時点のGPIFによる石炭関連企業への投資額(時価総額)は、8826億円~1兆7,955億円となった(下記参照)。
本調査ではGPIFによる株式・債券の保有データを元にしており、以下3通りの方法で石炭関連企業を特定した。
- 方法1(ノルウェー政府年金基金が特定した石炭関連企業)に基づくGPIFの石炭関連企業投資額
- 方法2(The Carbon Underground 200の石炭資産保有大手100企業)に基づくGPIFの石炭関連企業投資額
- 方法3(方法1と2の合算、重複企業を集約)に基づくGPIFの石炭関連企業投資額
パリ協定が発効し、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度よりも十分低く保つとともに、1.5度に抑える努力を追求することが国際目標となったが、世界の大手化石燃料保有上場企業200社の現有化石燃料埋蔵量762ギガトン(CO2換算)のうち、産業革命からの気温上昇幅を2度に抑制するためには、225~269ギガトン分しか利用することができないと指摘されている。
こうした利用できない可能性のある資産を保有するリスクは、座礁資産リスクと呼ばれており、ノルウェー政府年金基金、カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)、カリフォルニア州職員退職年金基金(CalSTRS)、スウェーデン第二公的年金基金(AP2)などの公的年金基金は、石炭関連企業からのダイベストメント方針を表明している。
一方、GPIFは、2015年に国連責任投資原則(PRI)に署名し、投資先の環境・社会・ガバナンス等を配慮したESG運用を開始したが、今のところ気候変動に関する明確なスタンスは示していない。当センターは、GPIFに対して、石炭関連企業からのダイベストメント方針を策定するよう求めている。
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※本報告書の作成にあたっては、Tides財団のパタゴニア環境助成金プログラムより助成を受けています。