JICA環境社会配慮ガイドライン改定に向けたNGO提言サイト

 

JICA環境社会配慮ガイドライン改定の背景


日本は世界第2位の政府開発援助(ODA)国であり、2001年には約96億ドルを拠出しています。このように、日本のODAは被援助国の自然環境、およびそこに暮らす人々の社会生活に多大な影響を及ぼすものであるにも関わらず、現状では被援助国における環境、社会に対する十分な考慮がなされているとはいえません。これはまた、日本国民の税金がどう使われるのかということでもあり、われわれの生活とも切り離すことのできない問題であるといえます。

日本における開発援助は、現在、国際開発事業団(JICA)および国際協力銀行(JBIC)を中心に行われており、JICAは以下3点の事業の実施を行っています。

開発調査: JICAは相手国政府との間で実施細則(S/W)を取り決め、これに基づいて、JICAが選定したコンサルタントが相手国政府と協力して報告書を作成し、その間併せて技術移転を行う。開発調査には、国全体又は特定地域での総合開発計画やセクター別の長期計画を策定するマスタープラン調査(M/P)と、優先度を与えられたプロジェクトの実行可能性を検証し、実施に最適な事業計画を策定するフィージビリティ調査(F/S)がある。

無償資金協力:JICAが行う無償資金協力の業務は、基本設計及び概算事業費の積算を行う基本設計調査と、政府間の交換公文(E/N)の署名により事業が開始された以降適切に事業が実施されるよう監理を行う実施の促進業務である。なお、採択の可能性がある優良案件の中で、実施体制など要請内容をさらに現地で確認する必要があるものについては、基本設計調査に先立って、JICAは予備調査を行う場合もある。

技術協力:技術協力プロジェクトは、専門家の派遣、研修員の受入、機材の供与という3つの協力形態を組み合わせ、ひとつのプロジェクトとして技術移転を行う協力である。JICAは、この全体の実施を担当する。プロジェクトの内容は、長期専門家や短期専門家を派遣し現地の技術者に技術を伝え、その技術者が日本の関係機関での研修を行うものであり、プロジェクトを運営するために必要な機材も日本から供与される。

しかしこれまでJICAは、環境および社会への影響に関して、開発調査の事前調査段階のみを対象とした、等の20セクターに関する「環境配慮ガイドライン」を有してきただけでした。(JICA調査過去の問題事例

2002年7月、外務省改革に関する「変える会」はその最終報告書のなかで「本年4月1日、国際協力銀行(JBIC)が作成した『環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン』を踏まえ、無償資金協力の環境社会配慮ガイドラインを策定する」との文言を明記しました。この流れを受けて2002年12月、JICAは「JICA環境社会配慮ガイドラインに関する改定委員会」を発足しました。

この委員会では「検討方針」として、JICA全事業を対象とした基本方針、目的、手続き、情報公開の明確化および国際協力銀行(JBIC)ガイドライン等との整合性を確保すること等を挙げています。


JICAの環境社会配慮ガイドライン改定委員会ホームページ



これまで本委員会に参加してきたNGOは、この委員会およびガイドライン改定プロセスにおける公開性および幅広い市民の参加の確保と、開発途上国での環境破壊、およびそこに暮らす人々の社会生活に少しでも被害が及ばないようなガイドラインの制定を目指し、様々な提言を行いました。

委員会およびガイドライン改定プロセスに関するNGO提言
ガイドラインの内容改善に向けたNGO提言および関連資料