提言レポート「日本発の気候変動適応・ロス&ダメージ対策推進のための提案~国際社会のレジリエンス強化に向けて~【資料付き】」を発行
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書は、人類の温室効果ガス排出により、産業革命前と比較し地球平均気温が約1.1°C上昇し、温室効果ガスの削減が急務であることを示唆しました。その一方で、すでに気候変動による自然生態系や人間の健康・生活への悪影響・被害が世界で顕在化しています。温室効果ガス削減が急速に進み平均気温上昇が1.5°C以内におさまっても、当面平均気温は上昇し続け、今後もより甚大な被害が発生することも懸念されます。
2023年国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)では、パリ協定の進捗状況を5年毎に確認するプロセスであるグローバル・ストックテイク(GST)の第1回目が完了し、その成果文書において、適応策に関してもさらなる行動・支援の加速が必要であると示されました。加えて、気候変動の影響へ対応するための決定や取組が進展し、「適応に関する世界全体の目標(GGA)に関するグラスゴー・シャルム・エル・シェイク作業計画(GlaSS)」の成果としてGGA達成のための枠組である「UAE Framework for Global Climate Resilience」が採択されました。さらに、UAE主導の「持続可能な農業・強靭な食料システム・気候変動対応に関する首脳級宣言(エミレーツ宣言)」、WMO・前議長国エジプト主導の「水適応・強靭性アクション・イニシアティブ(AWARe)」、国連環境計画(UNEP)・UAE主導の持続可能な冷却の実現を目指す「Global CoolingPledge」等、様々なイニシアティブも発表されました。
また、COP28では、初日にロス&ダメージに対応するための基金を含む新たな資金措置運用化に合意する等、適応策やロス&ダメージ対応のための資金への注目もこれまで以上に高まりました。二国間協力・国連機関・多国間開発銀行等への資金拠出を通じた支援に加え、民間セクターが拡大する適応ニーズをビジネスに結び付けていくための、適応ビジネス・ファイナンス支援も進められています。
本提言レポートは、COP28の結果や国内外の動向も踏まえつつ、適応策・ロス&ダメージへの対応に関する日本の取組や国際社会への貢献という観点から発表するものです。
COP29に向け、今後の日本・世界における気候変動適応策・ロス&ダメージへの対応に関する議論・取組・様々なステークホルダーの協力を更に推進していただくための一助となれば幸いです。
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レポートダウンロード(P.1~54、PDF)
レポートダウンロード(P.55~90、PDF)
提言執筆者:遠藤理紗、足立治郎