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プレスリリース「JBIC債保有2機関が投資撤退(ダイベストメント)・5機関が大幅減~米国最大の公的年金基金であるCalPERSも保有額ゼロに~」を発表

投稿日:2025年11月10日

2025年11月10日

プレスリリース:
JBIC債保有2機関が投資撤退(ダイベストメント)・5機関が大幅減
~米国最大の公的年金基金であるCalPERSも保有額ゼロに~

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)

11月10日、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)は、ブリーフィングペーパー「JBIC債保有2機関が投資撤退(ダイベストメント)・5機関が保有額大幅減〜パリ協定に逆行して化石燃料支援を継続するリスクが顕在化〜」(PDF)を発表した。未だに化石燃料事業への多額の支援を続けている国際協力銀行(JBIC)に対して、少なくとも2機関がJBICの保有額のダイベストメントを行っており、少なくとも5機関が保有額を大幅に減少させたこと等が明らかになった。

2024年8月調査時点及び2025年8月調査時点におけるJBIC債保有機関のデータの比較によると、California Public Employees’ Retirement System(CalPERS)及びState of Wisconsin Investment BoardがJBIC債の保有額をゼロとしており、また、Minnesota State Board of Investment(MSBI)、Fonds de Compensation de la Sécurité Sociale, SICAV-FIS (FDC)、Massachusetts Pension Reserves Investments Management、Colorado Public Employees’ Retirement Association(Colorado PERA)、Florida State Board of Administration(FSBA)が保有額を25%以上減少させた。米国最大の公的年金基金であるCalPERSは、2024年8月時点で約1億800万米ドルに相当するJBIC債を保有し2024年8月調査時点の保有額ランキングでは3位だったが、2025年8月調査時点では保有額がゼロであることを確認した。

⽇本政府は2022年のG7合意において「1.5度⽬標やパリ協定の⽬標に整合的である限られた状況以外において、排出削減対策が講じられていない国際的な化⽯燃料エネルギー部⾨への新規の公的直接⽀援の2022年末までの終了にコミット」しているが、JBICは2023年以降、日本円相当で5,323億円にのぼる8件の化石燃料事業への融資契約を締結している。今後も、キャメロンLNG拡張事業、パプアLNG事業、アラスカLNG事業等、現地の先住民族の人権侵害や環境破壊のリスクが懸念されている複数の化石燃料事業への支援の可能性が高まっている。

JBICは、2050年までの運用ポートフォリオのカーボンニュートラルにコミットする輸出入信用機関イニシアチブである「ネットゼロ輸出信用機関同盟(NZECA)」に加盟しておらず、2030年の投融資ポートフォリオのGHG削減目標を設定していない。現在、イギリス、フランス、カナダ、スペイン、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、カザフスタン、UAEが、NZECAに加盟している。NZECAの加盟機関でスペインの輸出信用機関であるCESCEは、2035年までに炭化水素産業へのエクスポージャーを2020年の比で75%減少、イギリスのUKEFは、石油・ガスにおけるスコープ1、2、3の絶対的資金調達排出量(リスクベース量(tCO2e))を2021年比で2030年までに75%削減、電力(再生可能エネルギーを含む)の資金提供による排出強度(リスクベース量(tCO2e/£))を2021年比で2030年までに58%削減すると発表している。

報告書では、JBIC債保有機関に対して、新規化石燃料事業への融資停止、投融資ポートフォリオGHG排出量の開示、1.5度の経路に整合する投融資ポートフォリオ排出量の2030年目標を開示のためのエンゲージメントをJBICに行い、一定期間を経て達成されない場合は、JBIC債からのダイベストメントを行うよう求めている。

本件に関するお問合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、田辺有輝/喜多毬香
tanabe@jacses.org / kita@jacses.org

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