地球規模での気候変動対応と日本の貢献を考える Ver. 2~国際協力をめぐる動向と課題(JCM・CTCN・日本のイニシアティブ・長期戦略を中心に)~
COP21にて採択されたパリ協定により、すでに温室効果ガス(GHG)排出量増加が著しい新興国や今後の排出増が見込まれる途上国も気候変動問題に取り組み、世界全体で実施状況を確認していくこととなった。
パリ協定ではイノベーションの重要性が明言されており、気候技術センター・ネットワーク(CTCN)及び技術執行委員会(TEC)に対して、技術研究・開発・実証等に関する追加作業も要請されている。COP22では、技術メカニズムと資金メカニズムの連携に関する議論が進展し、技術メカニズムと緑の気候基金(GCF)等の資金メカニズムとの今後のさらなる連携促進が期待されている。
日本は、低炭素技術・製品等の普及等を通じて途上国のGHG削減・吸収に貢献するため二国間クレジット制度(JCM)を推進するとともに、COP23期間中に「日本の気候変動対策イニシアティブ2017」を発表する等、独自の途上国支援取組を行っている。さらに、環境省が「気候変動緩和策に関する国際協力のあり方検討会」を設置する等、関係省庁における議論・検討の場も構築されており、今後の更なる具体的取組の進展も望まれる。
また、パリ協定では、2020年までに長期戦略の策定・提出が求められている。日本も2016年度から環境省・経済産業省がそれぞれ議論の場を設置・検討・取りまとめを行い、今後は日本政府全体での議論・検討が進められる予定となっている。長期戦略策定に際し、国内対策に加え、地球規模での緩和(GHG削減)と適応をいかに促進・支援していくかも鍵になると考えられる。
そこで、技術・資金の枠組み及び日本の海外貢献策に関する概要・課題を共有するとともに、今後の政策・制度の在り方に関する議論・取組・協力を推進するために、本レポートを発行する。
本書が、地球規模で気候変動に対処するための技術・資金に関する日本の政策・国際制度を検討する一助となれば幸いである。