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書籍 「サスティナブル・ウェルフェア・ソサエティ
(持続可能な福祉社会)〜税と貿易のシステムにおける
環境と福祉の統合」 のご紹介


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グローバル化による貧富の差の拡大、資源の枯渇と地球規模での環境破壊の進展、社会保障システムの行き詰まりなど、先の見えない混迷の時代に入りつつある。

本書は、環境と福祉の統合を目指した社会ビジョン「サスティナブル・ウェルフェア・ソサエティ」を提唱し、その実現のための手がかり(税・財政改革など)を提示する。新しい時代を読み解くヒントになる一冊。

2004年3月
著者 古沢広祐/足立治郎/広井良典/佐久間智子
定価 1000円 (+郵送料)
A5版ブックレット 159ページ
発行 「環境・持続社会」研究センター(JACSES)

内容:

不安が増幅する時代に私たちは生きている。

崩壊の淵に立つ年金制度、リストラの日常化、フリーターやパートなどの低賃金労働者の増加、中高年の自殺者の異常な上昇、食をめぐる不安、貿易自由化と食料自給率の急速な低下…。どの点をとりあげても日本社会の根幹は大きく揺らいでいる。他方、世界に目を向けると、特に9・11同時多発テロ事件以降、世界全体が一挙に不安定化の度合いを強めている。

かつて、90年前後の冷戦体制の終焉直後には、地球社会が世界的な貧困問題や地球環境問題の解決に一丸となって取り組むべく、夢多き理想が語られていた。地球という惑星に住む人類そして多様な生物たちが、共に永続的に安心して暮らしていく見取り図を描くという期待感が高まっていた。しかし、21世紀社会を迎えた日本そして世界は、再び時計の針を逆回しするかのような混迷の時代に入りつつあるかにみえる。

本書は、こうした先が見えにくくなった時代状況に対して、どのような展望を描けるか、大胆な問題提起の試みである。20世紀社会の矛盾を克服する手がかりとして、「持続可能な福祉社会」(サスティナブル・ウェルフェア・ソサエティ)を提起したい。すなわち、環境と福祉の統合を目指した社会ビジョンである。

全体は三つのパートから構成されている。 パートTでは、「いま何が問題なのか」、現状分析と課題について四人の座談会を通して、世界と日本が直面している重要テーマを浮き彫りにした。研究者の立場からは大胆なビジョンが提起され、実践をかかげるNGOからは社会変革のための戦略や政策課題、当面の壁が明らかにされている。さらにNGOコミュニティと生活者の視点も加わって、世界の現実が陥りつつある困難な構造にメスがあてられていく。四人それぞれが独自の切り口で、現代世界の矛盾に対して展望を求めるべく議論をたたかわせ、課題の輪郭がぼんやりとだが提示されている。 パートUでは、それぞれの立場をより明確に打ち出すべく、三論文として、ビジョン、構想、課題を各人がそれぞれに全面展開している。 パートVでは、実践的視点から、JACSES(「環境・持続社会」研究センター)が現在、特に重点的に取り組んでいる環境税・財政改革の課題の要点と提案事項について、まとめたものを提示した。

混沌化する現代社会に対する突破口を見出すための手がかりが、本書において幾分かでも示すことができているならば、本企画の意義は達成されたと思う。今回の試みが、どこまで的を得たものになっているか、読者の判断にお任せしたい。

著者を代表して・古沢広祐

目次:

はじめに 6

PARTT 何が問題か―現状分析と課題 9

【T】座談会
「持続可能な福祉社会への視座」
1・グローバル定常型社会の展望 10 
2・地球温暖化防止、環境税をめぐるせめぎ合い 15
3・脱成長・福祉重視型社会の重要性 19
4・ヨーロッパ社会は理想モデルか? 27
5・グローバル化と激化する競争 29
6・貿易システムの動向と中国・アジア 33
7・後退するNGOの戦線 38
8・経済・産業格差とグローバル定常型社会 45
9・市民的公共性をどう創り出すか? 58
10・社会変革の可能性、政策形成の担い手をどこに見出すか? 65

PARTU 21世紀社会のビジョンと構想 75

【U】持続可能な地球社会へ…日本と世界の課題 (古沢 広祐)
― 国内改革と国際連携を結ぶ「グローカル」な統合戦略 ―
1・混迷期をむかえた時代状況 76
2・「持続可能な発展」をめぐって ― 発展パターンの特徴 78
3・持続可能性への2つのアプローチ ― 環境的適正と社会的公正 79
4・持続不可能な発展へ曲折する世界 82
5・開発・国際協力は、自己を映し出す鏡 83
6・グローバルな視野からの統合戦略 ― NGOの関わりによる革新 85
7・貿易と国際協力をめぐるフェアトレード、オーガニック運動の展開 87
8・持続可能な社会へのビジョン ― 社会経済システムの転換 89

【V】「定常型社会=持続可能な福祉国家・福祉社会」の構想 (広井 良典)
1・「定常型社会」という発想 95
2・社会保障改革の基本的な理念と方向 97
3・社会保障の新しい課題と対応 100
4・新しい経済社会システムへ 104

【W】剥奪された人間性を取り戻すために (佐久間 智子)
1・はじめに 106
2・コモンズの喪失とオルタナティブ経済 107
3・市場における大規模・集中化と、国家による公共の独占 110
4・専門化、商品化の落とし穴 115
5・では、どうすべきか 117

PARTV 何ができるか―変革のための提案― 123

【X】持続可能な社会の実現に向けた税制・財政改革 (足立 治郎)
1・はじめに 124
2・持続可能な社会の実現と税制・財政改革 125
3・税制(政府の歳入)改革 129
4・財政(政府の歳出)改革 144
5・政策プロセス 152
6・最後に 158

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