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ADBプレスシートNO.3

ADB改革の動きとNGOキャンペーン




過去5年のADB改革の動き(1992 - 96年)
●中間戦略枠組みの策定と環境配慮の強化
ADBは92年以降、大規模インフラ整備プロジェクト偏重から、環境・社会分野への投資と配慮を強化する方向へと、貸付・業務内容の転換を図ってきた。このためADBは、92年に「中間戦略的枠組み」(The Bank's Medium-Term Strategic Framework : 1992-95)を策定し、《50-50プロジェクト配分》と呼ばれる目標を定めた。これは、ADBの全融資の50%(プロジェクト数として)を、環境、社会開発、女性と開発(WID)、貧困削減という4つの要素のいずれかが含まれたプロジェクトに仕向けさせるもので、大きな戦略的枠組みを実際の融資計画とプロジェクト実施に反映することを意図している。この枠組みに基づき、ADBの《社会的領域課(Social Dimensions Unit:SDU)は92年より、承認されたプロジェクトについて分類し《50-50プロジェクト配分》状況について評価を行っている。しかし、これについて分析を行ったNGOは、その効果が明らかではない、あるいはほとんど認められないようなものでも「環境/社会プロジェクト」として分類される傾向があること、従ってADBのプロジェクト分類が評価自体に問題があることを指摘している。(注1)

●内部評価によって明らかになったADB貸付活動の問題点
1994年、当時のADB副総裁・シュルツ氏の率いる特別調査班が、ADB業務に関する内部評価を行った。この調査班の報告書である「プロジェクトの質向上に関する特別調査班報告」(Report of the Task Force on Improving Project Quality、いわゆる「シュルツ報告書」)によれば、66年から93年までに終了したプロジェクトのうちから無作為に選ばれた427のプロジェクトのうち、約10%が「不成功」、そしてさらに30%が「部分的な成功」に終わっていると評価された。その原因の一つとして、より多くのプロジェクトへの融資を速やかに認可し実施に移すことに重点がおかれるあまり、環境・社会的影響への配慮や住民の参加と協議など、プロジェクトの「質」を左右する重要な側面が軽んじられる傾向にあることが指摘されている。2 この点は世界銀行や海外経済協力基金(OECF)などの二国間ODA機関にも共通する問題で、NGOは、公的な開発援助における根本的問題のひとつとしてこれまで繰り返し批判してきた。なお、「不成功」なプロジェクトを生む原因としては他に、借入国においてプロジェクトに対する「所有」(ownership)の意識が欠けていること、そしてADBの業務と機構が中央集権化しすぎていること、などが挙げられている。

●新政策の策定と実施における問題
以上の様な状況下、ADBは過去数年間、環境・社会問題を担当する部局を強化するなど、組織改革を行う一方、業務政策の策定・改訂を通じて業務改革を行ってきた(別紙年表を参照)。しかし、NGOは、引き続き経済成長に重点を置きながら、環境・社会へも十分に配慮していくということが果たして本当に実行されうるのか、疑問の声を挙げている。例えばADBのエネルギー政策は、エネルギー効率ならびに再生可能なエネルギーを統合したプログラム/プロジェクトの推進を強調しているが、オーストラリアのNGOが96年に行った分析によると、実際のエネルギー分野融資実績では融資総額の95%以上が、石炭発電、水力発電、高圧線の延長といった、従来通りのプロジェクトに向けられていることが明らかになっている。(注3)

またADBは、プロジェクトの現場で住民との協議を行ったり、政策やプロジェクトの企画段階での参加を促すとしているが、現場の住民からはそれらが事実上殆ど行われていない、という強い批判が挙がっている。また、先住民族に関する政策の策定に当たってADBは、95年、国際開発金融機関としては初めてアジア各国の先住民族団体を招いた「コンサルテーション」を実施したが、実際の会合にはADBの意思決定に係わる代表理事や業務部職員はほとんど出席せず、先住民族団体やNGOからの批判を招いた。


国際的なNGOキャンペーンの歴史(1989 - 96年 )
●NGOによるロビー活動の開始と発展
NGOによるADBキャンペーンは88年、フィリピンの《Asian NGO Coalition for Agrarian Reform and Rural Development(ANGOC)》とアメリカの《環境政策研究所》(現在は地球の友US)が、世界的な多国間開発銀行(MDB)改革キャンペーンの一環として協力を話し合ったことに始まる。その後89年、北京で開催された年次総会にインドネシアの《Wahana Lingkungan Hidup Indonesia (WALHI)》および日本の熱帯林行動ネットワーク(JATAN)が参加し、その後、NGOの総会への参加とロビー活動が行われるようになった。

その後9ヵ国18団体が参加した92年の総会において、ADBは初めてNGOにオブザーバー参加を認める通行証を発行、ここで初めてNGOは公式な参加を認められるに至った。同年、マニラに事務所を置く《ANGOC》と《LRC(地球の友フィリピン)》を中心とするNGOネットワーク組織、《NGO Working Group on the ADB(ADBに関するNGO連絡評議会)》が設立され、以来NGOは毎年総会にオブザーバーとして参加、総裁を初めとするADBのスタッフ、各国の政府代表団などと個別のプロジェクトの問題点、ADBの各政策・ガイドライン、業務戦略等に関し改善するよう促してきた。またこのとしの総会からは会場内にNGOのための参加設備が提供されるようになっている。

94年からは毎年、総会に先立ち数日間の会合(NGO戦略会議)を開催し、NGOの共通認識と問題点、キャンペーン戦略を話し合うことにしている。総会への参加団体は年々増加し、96年の総会に通行証を発行されたのは計18ヶ国の52団体となっている。NGOのADBに対するキャンペーン活動は、ADBの業務・運営に関する政策の提言と具体的なプロジェクトの改善とに分けることができるが、双方はADBの融資全般の改革において決して切り離すことは出来ない。

●過去の総会におけるNGOの主な主張
92年:環境分野の強化、NGOとの協議などを要請
地球サミットが開かれたこの年、NGOは環境・社会分野の専門性を強化するよう要請した。当時、ADB全職員のうち、環境に関するトレーニングを受けたものは全体の1%にも満たなかった。NGOはまた、情報公開、アカウンタビリティー、NGOとのコンサルテーションについて問題点を指摘。これらはその後、NGOキャンペーンの主要テーマとなる。

93年:地元住民との協議 
この年NGOは、プロジェクトの影響を受ける地元住民とADBスタッフとの間の直接対話を実現するよう、ADBに働きかけた。特にフィリピン・ルソン島北部で予定されていたマシンロック石炭火力発電所建設をめぐって、地元住民約150人がNGOの協力を得て総会でのオープニングセッションでデモを行っている。また垂水総裁(当時)及び各国政府代表団との会合も初めて行われた。

94年:第4次一般増資(GCI)問題
ADBは5年に一度の割合でその資本金の増資を行う。94年の第4次増資に際してADBは資本金をそれまでの232億ドルから一挙に倍以上の480億ドルへと増加した。NGOは、プロジェクトの質及び持続可能性が改善されない限り増資を行うことは反対であるとし、増資の必要性に疑問を呈した。またフィリピンのマシンロック石炭火力発電所、ネパールのアルン第三水力発電所への融資に対しては、その凍結を求めた。4 さらに、移転・再定住政策、森林政策、先住民族に関する政策などについての分析をまとめ、ADB職員との協議を行った。

95年:政策批判の本格的なスタート
この年以来NGOは、ADBの示す一連のポリシーペーパー及びガイドラインに対する批判と提言活動を開始。ADB側もそのドラフト段階でNGOに政策を示し、NGOからのインプットを求めるようになった。しかし、実際に策定された政策の中でNGOの見解がどこまで反映されたのか疑問が残るとともに、いわゆるADBが謳う「NGOとの協議」の行い方についても依然として批判の声が強い。

96年:ADF増資問題
74年の設置以来、7回目の増資にあたるアジア開発基金(ADF)についての意見をまとめる。NGOは資金が農業インフラ、公共衛生、女性の地位向上、子供の健康、環境保全に使用されることを条件に増資に賛成している。また、ヴェトナムとカンボジアのNGOが初めて参加し、メコン川流域開発に関して、地域住民の参加を保証すること、開発計画が流域全体へ与える累積的影響に関する環境アセスメントを行うことなどを要請した。NGOはまた、《50-50プロジェクト配分》についても取り上げ、ADBによる「環境」あるいは「社会開発」の分類が明確ではないと指摘している。



(注1)Isagani R.Serrano, Vision and Reality in ADB's 50:50 (March 11,1996)。

(注2)これらは経済的妥当性、社会的インパクト、実施可能性、そして持続性の観点から評価されたものである。しかしこれは「経済的な成功率」をその指標としており、社会的・環境的なコストが分析に組み入れられれば、さらに不成功率は高くなると考えられる。

(注3)Aviva Imhof, ADB Energy Campaign Paper, A Study paper written for the 1996 NGO Lobby Campaign organaized by the NGO Working Group on the Asian Development Bank(April, 1996)。

(注4)世界銀行の主導のもとに日本及びドイツ、スウェーデンとの協調融資が計画されていたネパール水力発電ダム計画。95年8月、世銀の《独立査察パネル》の勧告を受け入れた世銀が融資を取り止めた結果、ADBの融資も自動的にキャンセルされた。

◆参考資料:
Antonio Quizon and Violeta Q. Perez-Corral, The NGO Campaign on the Asian Development Bank (ANGOC  1995)

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