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JACSES ブリーフィング・ペーパー・シリーズ
持続可能な開発と国際援助 No.1 (1995年6-7月合併号)
『世界銀行の改革(1):問題の焦点と改革への動き』
 
発行:「環境・持続社会」研究センター


来る6月中旬、カナダのハリファックスにおいて主要国首脳会議(G7サミット)が開かれる。今回のサミットでは、国際機関、特に世界銀行(Wolrd Bank、以下「世銀」)や国際通貨基金(IMF)などの役割の見直しと機構の改革が、主要議題のひとつとして取り上げられる。
 一方、今年は「第二世銀」ともいわれる国際開発協会(International Development Association: 以下、IDA)の第11次の増資交渉が行われている。IDAの増資に関しては、過去数回の増資交渉の度に、IDAを含む世銀の融資政策、ならびに組織改革の問題が取り上げられてきた。特に、前回の第10次増資においては、IDAプロジェクトが招いてきた社会的および環境的な問題、融資業務の質の低下、情報公開など、さまざまな問題点が指摘された。特に最大拠出国のアメリカでは、拠出に際して予定された拠出額の削減や「世銀改革」を条件とする法案が可決された。
 こうした中で迎えた第11次増資交渉では、すでに世銀の改革に関して様々な議論が世界各地で活発にかわされており、多くのNGOから具体的、詳細な提案が発表されている。
 今号と次号の2回にわたり、世銀改革が叫ばれている背景と、過去数年間の世銀改革の動きを追うとともに、改革へ向けてのNGOからの提言などを紹介する。


1. 世銀と開発援助:何が問題か 
 1980年代後半から90年代前半にかけて、巨大プロジェクトによる環境破壊、強制移住等による人権侵害や地元住民の参加を欠いたプロジェクトの実施、「受益者」であるはずの人々の貧困の悪化など、世銀の融資/貸付によるプロジェクトの抱える問題が、ますます増大、かつ深刻化してきた。
 特にインドのナルマダ渓谷に建設されている≪サルダル・サロバル・ダムプロジェクト≫に代表されるように、巨大ダム開発などの大規模なインフラ整備プロジェクトの多くが、先住民や地元住民をまったく無視した計画や、不十分な環境配慮、そして情報公開の不備などのために、国際的に大きな批判と反対運動を引き起こす結果となっている。
 1994年4月に世銀が発表した『再定住と開発』という報告書によれば、1986年から1993年の間に世銀が融資/貸付を行ったプロジェクトにおいて、約250万人の人々が「非自発的な」移転を強いられ、さらに現在進行中のプロジェクトにおいて200万人の強制移住が予測されている。しかも、こうした移転を強いられた人々が移転後に生活水準を回復、または維持できたケースは、ほとんど無く(149 のプロジェクトのうち、わずか2〜3件)、移転者の多くが十分な補償も得られないまま、さらに従来の生活の糧も失うなど、貧困の悪化に直面している。
 一方、世銀は途上国の債務問題の解決を促進するという名目のもと、80年代を通じて構造調整政策(Structural Adjustment Policies, 以下SAPs)にもとづいた貸付の額を増大してきた。  しかし、その結果は世銀自身も報告するとおり、SAPsを本格的に導入した1980年代に途上国の債務は逆に悪化の一途をたどっている。1993年末時点で途上国全体の対外債務は、約1兆7,000 億ドル(前年比で約1,080 億ドル、6.5%の増加)となっている。特にサハラ以南のアフリカ諸国では、債務の対GNP比が53.7% に達している。
 さらにSAPs については、政府の財政赤字削減のための公的機関の雇用削減や政府補助金の削減、公共料金の値上げ、統制価格の撤廃などによって、貧困層、特に女性に対するしわ寄せが増大している。たとえば、ヘルスサービスと教育における財政カットは、栄養失調、乳児死亡率や妊産婦死亡率などの上昇(特に農村地域)を招いており、何億という子どもたちが教育の機会を失っている、とUNICEFは報告している。イギリスの開発NGOである≪オックスファム(Oxfam)≫の調査によると、アフリカ地域の状況は深刻で、たとえばザンビアでは食糧や燃料といった生活必需品の消費者価格がわずか18カ月の間に2倍に跳ね上がり、貧困層の家庭を直撃した。
 一方、世銀は80年代より「NGOとの協力関係」が重用であると表明してきた。1994年度の貸付/融資プロジェクトの約半分にNGOが何らかの形で参加している、と報告している。しかし、実際には、多くのプロジェクトにおいて、地元住民やNGOに対する十分な情報の提供が行われず、プロジェクトの意思決定、特に最も重要である準備段階においての参加の機会は与えられてこなかった。

 世銀貸付/融資における数々の問題を生み出す根本的原因は、現在の世銀の機構そのものが組織的限界や重大な欠点を抱えていることにあり、そしてこうした機構的な問題が、融資政策やプロジェクトの実施に深刻な歪みを生んでいる、と世銀問題に取り組むNGOや専門家は指摘している。さらに、世銀は運用資金の肥大化とともに、援助機関というよりむしろ、「銀行」としての使命、つまりその莫大な資金を「効率的」に運用するということにますます重きを置くようになってきた。そうした経済的、あるいは業務的「効率性」への偏重が、「持続可能な開発」において、本来、最も重視されるべき社会的影響や環境への配慮をないがしろにする傾向を助長してきたともいえる。

ワッペンハンス報告書(Wapenhans Report:1992年発表)
 一方で、経済的収益の側面から見ても問題の多い、あるいは破綻を予測させるようなプロジェクトが急増してきている。
 世銀のルイス・プレストン総裁が諮問した≪資産管理タスク・フォース≫による『ワッペンハンス報告書』は、こうした事実を裏付ける結果となった。これは、1991年までに終了した世銀の総額1, 380億ドルにおよぶ113ヵ国、1, 800の現行プロジェクトを調査した内部評価報告書。
 この報告書は、以下のような点を指摘している。(なお評価は、プロジェクトの審査の段階で設定された経済的、財政的、技術的、社会的、環境的な目標が達成されたどうか、そして経済収益率が10パーセントの最低基準を満たしているかどうかなどについて行われた。)

  A: 現行プロジェクトの評価
1) 1991年に完了した世銀プロジェクトの約37.5%が「不満足](unsatisfactory)、つまり何らかの問題を抱えており、これは1981年比で15%の増加したことになる。
2) こうしたプロジェクト・パフォーマンスの悪化によって貸付/融資がキャンセルされるプロジェクトの割合は、過去3年間で約50%も増加している。
3) 分野別では、特に農業と水供給プロジェクトの実施状況においての悪化が顕著である。さらに貧困、環境、民営化の部門での実行状況の悪化も目だってきている。
4) 融資協定が確実に守られているケースは、全体のわずか22%であった。
5) インタビューを受けた世銀スタッフのうち「プロジェクト案件の準備段階での調査分析がプロジェクトの質に反映している」と答えたのは、わずか17%にとどまっている。 また、この資産管理タスク・フォースは、開発途上国から15人の専門家を招いて意見を聴集した。この会合でも世銀が抱えるさまざまな問題が指摘された。400ページにおよぶ記録には、以下のような証言が見られる。
・多くのプロジェクトが世銀からの「押し付け」である。
・融資交渉は世銀主導で行われ、借入国の意見には耳を貸さない傾向がある。
・プロジェクト案件の計画には国際コンサルタントが優遇されている。こうしたコンサルタン トは地元の状況に疎いなどの理由から、プロジェクトの質が低下しやすい。

  B: 問題プロジェクトを生む要因
 このタスク・フォースの責任者で当時の世銀副総裁(特別顧問)であるワッペンハンス氏は、世銀のプロジェクト実施状況の悪化について、「ポートフォリオは切迫した状態にある....そしてその状況は一時的なものではない。根の深い問題に起因している」と厳しく批判している。そしてその「根の深い問題」として、以下のような点を指摘している。
1) プロジェクト審査において楽観的な収益率を期待する傾向があり、これが世銀業務内で系統的に行われ増大している。
2) 世銀のスタッフの評価が融資案件の数、または予算金額の大きさ、つまり「いくら資金を動かしたか」という点に重点がおかれる傾向がある。
3) ポートフォリオ全体のパフォーマンスに対する経営配慮が不十分である。
 以上のような世銀貸付・融資の質の低下は、経済的な側面からのみ眺めてみても、金融機関として、世銀が非常に深刻な問題を抱えていることを明らかにしている。しかし一方で、世銀は加盟国によって成り立っており、いわば通常の金融機関の取締会に相当する理事会も、融資の失敗、「焦げ付き」に対して法的な責任を有していない。世銀の組織改革が叫ばれている重要な要因の一つは、こうした世銀の「責任の不在」、あるいは「信頼性の欠如」が近年、一段と顕著になってきていることにある。

2. 90年代前半の世銀改革の動き
 世銀の機構的改革の最低条件として早急に対策が求められたのが、融資における透明性の向上と信頼性(アカウンタビリティー)の確立である。世銀はこうした指摘や国際的批判に応える形で、1993年、情報公開政策の改善と独立した控訴機関の設立に着手した。
  1)情報公開に関する新政策(1994年1月発効)
 世銀は1993年8月に情報公開に関する新政策の方向性を示した『世銀情報へのアクセスの拡大』を発表し、この世銀案は1993年8月26日に理事会で承認された。
 新政策のもとでは、理事会に提出するプロジェクトに関するコスト、ファイナンス、環境的側面などについての主要な情報を示した≪プロジェクト情報文書(Project Information Documents)≫や≪国家環境アクション・プラン(National Environmental Action Plan)≫、そしてカテゴリ−A(環境への影響が大きいとされるもの)に分類されたプロジェクトの環境アセスメント(Environmental Assessments)などが公開されるようになった。
 しかし、改善された情報公開政策は、いまだいくつかの問題点を残している。
 たとえば≪スタッフ審査報告書≫は、世銀貸付・融資を理事会において決定する際の重要な文書だが、現行の政策では「理事会の決定が行われた後にかぎり公開」となっており、融資決定以前にプロジェクト実施対象地域の住民でさえ、その内容を知ることができない。同様に、フィージビリティー・スタディー(実行可能性調査)や環境・社会的影響評価、経済的な側面での調査など、プロジェクトの内容を決める上でもっとも重要な情報は一般に公開されない。こうした情報の公開は借り入れ国と世銀が協議の上、借り入れ国の承諾にもとづきケース・バイ・ケースで公開されることになっている。これは重要な情報の公開を避ける”抜け道”ともなりかねず、情報公開の基準の妥当性に欠ける、とNGOや専門家は指摘している。

 2)独立調査パネル(1994年4月発足)

 1992年、アメリカの環境団体が「常設的、かつ独立した申立て機関」を世銀内部に設立することを提唱した。この提案を受けるかたちで、世銀は≪独立調査パネル≫(Independent Inspection Panel )設立に関する提案を発表、1993年9月22日、同理事会で承認された。 このパネルは3人の委員によって構成されている。  世銀が融資/貸付を行うプロジェクトの計画、実施に関し、世銀自身の政策、実施手続き、あるいは貸付協定に違反がある場合、影響を受ける地元住民組織やNGOが申立てをすることができる。パネルは申立ての内容に基づいて調査を行い、世銀業務部に対しての「報告および勧告」を行う。さらにパネルは、世銀業務部のパネル勧告に対する対応を含め、結果を理事会に提出する。
 この調査パネルに関しては、設立そのものは評価されながらも、一方でその有効性に疑問の声が上がっている。根本的な問題点はパネル自体の「独立性」が弱いことである。、問題提訴について、それを取り上げるか否かの決定は理事の承認を必要とし、パネルは理事の承認が下りた場合に限り、提訴されたケースについての調査を行なう。さらに、パネルはその結果と分析、提言を理事に提出するが、パネル自体には問題プロジェクトを中止させる権限はない。
 調査パネルに対する始めての申立てが、昨年の10月24日にネパールのNGOから提出された。これは、現在、国際的に最も大きな注目を浴びている≪アルンIII発電所建設プロジェクト≫に関するものだが、このケースの審査過程において、申立て側に対する情報公開の不備、世銀業務の関与など、査察パネルの機能と審査のプロセスについて、すでにいくつかの懸念が持ち上がっている。

  3)融資改善のための『アクション・プラン』
 世銀の融資政策の失敗の要因を指摘した『ワッペンハンス報告書』では、失敗件数の割合を引き下げるために、今後、世銀が取り組むべき課題としての改善案を勧告した。 改善案には、1)国別ポートフォリオの作成と柔軟な運用、2)プロジェクト管理における世銀の役割の明確化、3)世銀スタッフの業務評価基準の見直し、4)問題のあるプロジェクトについては最後の手段として貸付の取り消しを行うこと、などが挙げられている。
 これを受けた世銀は、1993年に『ネクスト・ステップ:アクション・プログラム』を発表(同年7月に理事会で承認)、87項目の改善措置を提案した。その後、この行動計画に沿った1年間の進捗状況のレビューを1994年7月に発表した。世銀は、1994年度中に84項目の改善措置が完了またはほぼ完了の段階にあること、そしてこうした措置を講じた結果、プロジェクトの準備段階からの受益者の参加拡大などの成果がすでにみられている、と報告している。
 しかし、この点についてのNGOの見解は異なる。アメリカの環境NGO≪環境防衛基金≫のブルース・リッチは、1995年3月に開かれた米国連邦議会の下院≪銀行・金融サービス委員会≫の公聴会において、次のように指摘している。
・問題はアクション・プランの内容そのものにある。『ネクスト・ステップ』には、詳細な目標達成のための、具体的な公約とその実施タイム・テーブルが示されていない。
・プロジェクトの質の管理において、最も重要な役割を果たすのが業務評価局(Operation Evaluation Department: OED)である。しかし、このOEDが世銀業務に関して独立した信頼性(アカウンダビリティー)を維持するために必要な、真の役割を果たすようには改善されていない。
・重要な課題のひとつである「受益者のプロジェクトへの準備段階からの参加」についても、世銀は成果があったとしている。その成果の一例として世銀が挙げているのが≪メキシコ北部国境環境プロジェクト≫(3億6800万ドルの融資)である。しかし、実際のところこのプロジェクトは、1)影響を受ける住民や地域社会の参加の欠如、2)不十分な情報公開、そして3)プロジェクト本来の目的の達成を阻むような性急な準備、などの点で国際的によく知られているものである。メキシコおよびアメリカの約24のNGOが、1994年6月に両国の世銀理事に送った書簡っている。その書簡でNGOは、このプロジェクトは環境影響評価(EIA)も実施されておらず、この融資(プロジェクト)の内容を計画するための意味のある協議のプロセスも踏まれていない、と指摘している。
 以上のように、世銀は90年代に入ってから、いくつかの機構的あるいは政策的な「改善」を行ってきた。が、その多くはいまだ根本的な問題の解決につながるようなものではなく、依然として、多くの問題点の指摘や憂慮の声があがっている。


(参考資料)
世界銀行の独立調査パネルの運営手続きに関する米国NGOのコメント
International Rivers Network Center for International Environmental Law

(抜粋要約)
世銀の「業務指令」の改訂・再編成の問題
現在、世銀は「業務手続きの効率を改善する」という名目のもと、従来の業務政策と手続きの見直しを進めており、特に注目すべきことは、移転、環境への配慮、融資手続きなど、世銀スタッフ業務遂行上の政策・指針を示した業務指令(Operational Directives)等の文書の整理・簡略化である。詳細な政策と手続きを示した業務指令は「業務政策」、「世銀手続き」(2ページほどのごく簡単な政策文書)、あるいは「最善の実行」(スタッフが参考にする業務上のアドバイス)の3つのカテゴリ−の文書に置き換えられることになる。問題は従来の「業務指令」に比べ、全体として世銀のプロジェクト責任者やスタッフに対する拘束力も弱まる可能性があること。特に「最善の実行」に関連する問題は世銀独立調査パネルの権限外となり、このような「業務指令」の改訂はパネル自体の有効性と本来の役割を低下させる結果となりかねない。

調査案件の制約に関する問題
パネルはプロジェクトの貸出の支出期限の終了如何にかかわらず、世銀の融資業務上の失敗が引き起こしている直接的な影響・問題について調査を行なう権限が与えられるべきである。
申立ての内容について
現行の手続きでは、独立調査パネルに申立てを行なう際、申立て者は世銀の業務政策や手続きの違反について詳細に説明しなければならない。しかし、多くの場合、苦情申立てを行なおうとする借り入れ国の住民は、世銀の政策および手続きに関する文書を入手するのが困難であり、また、多くの場合、英語以外の国連公用語に翻訳されていない。これは、苦情申立てを行なう上での最も重大な障害である。パネルの委員は申立てを行なおうとする者と直接に会い、彼等が世銀融資によって受けた被害について、世銀の政策・業務手続きに鑑みて適切に説明し得るよう、援助するべきである。世銀の主要な政策と業務手続きに関する文書を、影響を受けた人々の言語に翻訳するよう、調査パネルは世銀に強く勧告する必要がある。

調査請求の受諾手続きに関して:情報の公開
(調査パネル設立に関する)理事会決議は、パネルの業務遂行における一般市民の参加が著しく欠けており、業務手続き規約でもこの点について改善されていない。苦情申立てが調査パネルに提出され次第、パネルはその申立ての内容を請求に応じて速やかに一般に公開するべきである。

議長の裁量に関して
第一にパネルの議長は、全ての申立て者に対し、パネルが申立ての件を取り上げない場合、その詳細な理由を文書にて示すべきである。さらに、元々の申立ての内容とそれに対する議長の返答がすみやかに一般に公開されるべきである。

世銀の対応について
現行の手続きの規約では、世銀が申立てが出されてから21日以内に申立てに対する返答を提出しなかった場合、その世銀の手続き不履行は記録され、申立て者と理事会に通達される。規約には、パネルは世銀からの返答あるなしにかかわらず、21日が経過した後、調査案件に関するパネルの勧告を理事会に提出することが明記されるべきである。
世銀の対応に関する情報公開
申立てに関する世銀の返答は一般に公開されるべきである。世銀の返答内容を申立て者、NGOおよびその他の専門家が再検討し、パネルに対して世銀側の分析に対する意見を述べる上で、情報の公開は重要である。

調査パネルの勧告について
現行の規定では、世銀が申立てに対する返答において、世銀の政策不履行を正し、不履行によって引き起こされた(または現在、起きつつあるつつある)悪影響を十分に緩和するであろうとパネルが判断しうる、詳細な行動計画が示されている場合、調査パネルは「調査を執行せず」という勧告を提出することもありうる。この条項は、世銀が明らかに政策や手続きの不履行を犯しているにもかかわらず、文書の上で何らかの行動計画を呈している限り調査は執行されない、という可能性を生むものである。さらに、過去の数多くの世銀プロジェクトの経験では、たとえ政策不履行を正すための詳細な計画が示されても、多くの場合、世銀がそれらを実際に実行したことはない。従って調査パネルは、世銀による「政策不履行を改善すための計画」の実施状況をモニターするための調査の執行が承認されることを提言するべきである。

理事会の決定と一般への発表
理事会の決定が出された後、関連する全ての情報が一般に公開されることが明記されるべきである。

調査パネルの報告
調査パネルは十分な調査を行なった後、調査報告を提出するが、その際には世銀の政策・手続き・融資協定の不履行に関する調査結果だけにとどまらず、世銀がこうした不履行に対処するために次にとるべき行動についての勧告を含むべきである。これにはプロジェクトの延期、または中止に関する判断も含まれる。


 
『『世界銀行の改革(2):IDA11増資へ向けて』』
 


1.  IDAと第10次増資(IDA10)初年度の評価

 国際開発協会(IDA)は、 国際復興開発銀行( IBRD ) の姉妹機関として世銀グループ(そのほかに国際金融公社:IFC、多数国間投資保証機関 : MIGA)において重要な役割を果たしてきた。IDAは開発途上国のうちでも、1人当りのGNP が1,305ドル以下の最も貧しいとされている国に対して、無利子、35〜40年の返済期間という条件の緩やかな融資―いわゆる「ソフト・ローン」を行っている。
 IDAの資金源は、加盟国各国からの出資、拠出金、融資返済金、さらにIBRDの純益の一部から成り立っている。1994年度のIDAによる融資は約66億ドルで、そのうちアフリカ諸国への供与が40%を占めている。IDAの融資資金は3年ごとに「増資」が行われる。1992年には第10次増資(IDA10)交渉がおこなわれ、1992年12月、資金供与国は1994年〜96年度 (1993年7月1日〜1996年6月30日)のIDA資金として、180億ドルの増資に合意した。なお、日本はアメリカに次ぐ第2の拠出国で、1994年6月末現在で出資金および拠出金の合計は約207億5600万ドルで、全体の約23% を占めている。

  IDA は、1994年の10月に『IDA10の初年度』( The First Year of IDA10: Review of the FY94 IDA Program) と題する報告書を発表している。この報告書では、増資の際に掲げたIDAの開発目標、つまり「貧困の削減」、「持続可能な経済成長の促進」、および「環境の持続可能性への支援」の3つの分野における状況を中心に、48カ国の対象国、128件のプロジェクトに対する融資に関するレビューを行っている。
 これによると、94年度の融資は「地域別、セクター、使用目的の資金配分は、IDAー10で示されたガイドラインに大枠でほぼ合致している」としている。しかしまた、インフラ整備に対する融資が増加した一方で、社会開発分野への融資は大幅に減少するなど、増資目標とは必ずしも一致しない傾向も同時に報告されている。
 こうした点について、NGO側からは以下のような問題点が指摘されている。

A. 社会開発セクターへの融資

・IDA−10では、人的資源関連、あるいはベーシック・ヒューマン・ニーズ(BHN)関連のプログラム(教育、衛生、人口、ヘルス・ケア、水供給など)に対する融資拡大が約束されているが、前年度までの3年間平均の30.6%から19.8%へと、大幅に減少している。一方で、インフラ整備への融資が拡大、26.9%を占めている。

B. 貧困
・国別の「貧困評価報告」(Poverty Assessment Reports)を1994年末までに終了し、「国別援助戦略」(Country Assistance Strategies)に統合することになっているが、これまでに終えているのは全体の約3分の1以下であり、アフリカ諸国に至っては60%がいまだ完了していない。 ・評価のプロセスは、実際に影響を受ける人々の参加を欠いたものである。さらに、IDAー10において、ドナ−国は貧困問題の分析と解決において女性に対する配慮の重要性を強調したが、「貧困評価」において、ジェンダーの視点からの分析と詳細な提言を示したのは、わずか約半分にとどまっている。

C. 構造調整政策(SAPs)
・1994年の構造調整融資(SALs)はIDA融資全体の29%を占めており、アフリカへの融資においてはSALsが全体の約半分(48.8%) を占めている。現在の構造調整政策(SAPs)は、貧困や環境へのしわよせが深刻であり、政策のもとの最貧国へのSALsは非常に問題である。

D. 重点地域の問題

・IDAー10では、融資全体の45%から50%をサブ・サハラ以南のアフリカ諸国に対して振り向けることが合意された。しかし、初年度は41%にとどまっている。
E. 環境
・IDA−10では、運輸、産業、農村開発や水資源開発などにおいて、環境に配慮することが政策として示されているが、「重要な環境要素を含む」とされるものは、わずか約17件にとどまっている。
・依然としてIDA融資プロジェクトの多くが、人々の移転・再定住をともなうものであり、移転後の補償や生活の向上の状況は貧弱なものである。

2. IDA11次増資(IDA11)と世銀改革の焦点:NGOの視点から

 IDA11増資交渉は、昨年の世銀総会以後、すでに数回に渡り行われている。各国の負担額、増資における融資目標などについて、9月のIMF・世銀年次総会までには最終合意に至るよう、交渉が進められている。
 このIDA11次増資については、NGOからも、既に様々な提言、または立場表明が発表されている。まず第一に、IDAの増資そのものを認めるか否かという点については、ほとんどのNGOの基本的な立場は共通している。それは「IDAはさまざまな問題を抱えている。しかしまた、IDA適格国である最貧国にとって、重要/必要な資金的支援である。したがって、増資は基本的に支持するが、増資に際しては様々な条件を前提とする」こと、つまり「条件をつけての増資」というものである。
 その増資における「条件」の内容については、それぞれ細かな点での違いはあるが、以下に主だった点を簡単に紹介する。


≪NGOが提唱するIDA−11増資の条件≫

1)債務削減
・債務削減/帳消しの努力をさらに拡大すること。特に、重債務低所得国(Severely Indebted Low-Income Countries)に対しては、債務の帳消しを行うこと。
・債務の救済のための資金は、IMFが有する350億ドルの金準備やIBRD の170〜190億ドルにおよぶ流動性準備資金の活用を検討すること。(昨年の世銀総会で、イギリス蔵相がIMFの金準備の10%を売却し、その資金を債務救済に充てることを提案したが、他のG7 諸国の支持は得られなかった)
 ・しかし一方、IBRDに対する債務の利子・元本の返済にIDAの資金を流用する、という手段は適切ではなく、見直しが必要であること。

2)SAPsの改善と社会影響評価
 ・従来の構造調整政策(SAPs)を見直すこと。貧困の悪化や環境への圧迫を招くような政策を排し、社会・経済の不平等の是正、貧困の解決、環境の保護に焦点をあてた政策をSAPsの中心とすること。
 ・「社会影響評価」をあらゆるプロジェクト、およびプログラムに義務づけること。
 ・「国別援助戦略」には貧困とジェンダーの視点が明確に示されること。

3)社会開発分野への取り組みの拡大
 教育、人口、ヘルスケア、衛生などの社会開発分野に対する支援をさらに拡大し、資金の一定額が振り向けられるようにすること。また、社会サービスなどに対する無償援助なども検討すること。

4)アフリカ地域に対する支援の拡大
 アフリカ地域への融資を全体の45〜50%に拡大するというIDA−10の目標を達成すること。

5)小規模プロジェクトへの融資への転向
 IDA融資の方向性を、大規模なインフラ整備などを中心とした融資から、小規模で、地域の自立を支援するプロジェクトへとシフトすること。

6)NGO・地元住民の参加拡大
 IDAが支援するプロジェクト、政策改善のための協議などにおいて、受益者である地元住民およびNGOの参加拡大にさらに努力すること。特に女性や先住民の人々の参加を支援する。

7)環境政策、特にエネルギー分野の貸付・融資の改善
 ・IDAの森林、農業、エネルギーなど環境面で関連の深い分野の融資が、国際的環境保護の重要課題(気候変動、生物多様性、エネルギー保全など)に合致、または貢献すること。世銀のこうした分野への取り組みはGEFではなくむしろ、世銀の通常の融資/貸付業務に組み込まれるべきである。
 ・エネルギー分野の融資は、需要サイドを重視したエネルギー管理と保全、再生利用可能なエネルギーの活用、エネルギー効率などを重視したプロジェクトを促進すること。

8)強制移転の問題
 世銀が1994年に発表した「再定住とリハビリテーション」に関する政策を全面的かつ有効に実施すること。ある一定の基準を満たさない限り、強制移転をともなうプロジェクトに対する融資は行わないこと。

9)情報公開政策の改善
 1994年に改訂された情報公開の政策は、まだ不十分であり、特にプロジェクトの計画、立案という早期の段階―理事承認の前の段階―で、環境影響評価などの重要な情報が公開されるよう、改善すること。

10)独立調査パネルの改善
 調査パネルの独立性と透明性を強化すること。特にパネルの調査実施に際し、理事会の承認を要するという条件は撤回すること。また、パネルの勧告、覚書、最終報告、および世銀側の回答などすべての文書は、その発行と同時に一般に公開すること。
 既に発表されている様々なNGOの提言書の中から、今回はアメリカ政府宛に提出された提言書を以下に紹介する。この提言書は≪50年で十分キャンペーン(50 Years Is Enough Compaign)≫から出されたもの。このグループは環境、開発、人権、宗教および社会公正などの分野で活動する、135のNGOのネットワーク組織。


『IDA 11交渉項目に関する米政府への提言』
―"50年で十分キャンペーン(50 Years Is Enough Compaign)"―  1995年2月6日


 米国財務省は、IDA 11が3つの優先的テーマ、すなわち「貧困層への投資」、「アフリカの成長加速」および「環境に対する責務(environmental stewardship)」に基づくべきだ、と提案した。私たちは、これら広範な目標を支持する。しかし、同時にまた、IDAポートフォリオにより広範囲、かつ具体的な変化がない限り、これらの目標は達成されないだろうと信じる。IDA自身が表明している、貧困の減少、経済成長および環境保護という目標と米国自身が示した目的の双方を達成する方向に、効果的にIDA(の融資活動のありかた)を向かわせなければならないが、そのために必要な次のステップには以下にあげるIDA 10 コミットメントの完全な履行が含まれる。すなわち、1)経済政策改革プログラムの軌道修正;2)世銀債務の免除;3)信頼性および市民参加の拡大のための世銀の情報政策のさらなる修正;そして4)最終利用効率とエネルギー保存の促進、である。

1. 経済政策改革プログラムの軌道修正
 ますます増え続ける様々な報告書は、IDA融資における構造調整プログラム、およびセクター調整プログラムが、IDA融資を受けている国々の貧困、不平等および環境問題を一層悪化させたということを明らかにした。さらに、世銀はこれらのプログラムが、特に「経済成長の促進」、「インフレの抑制」、「対外債務・当座赤字の減少」、そして「現地生産能力の向上」などに関する借入国の経済的パフォーマンスの一貫した改善に結びつくものでないことを明らかにした。また、これらのプログラムが貧困減少のための努力を支援するものでないことを明らかにした。そしてこれらは、IDAの目標と合致していない。

 したがって、現在の構造調整政策のコンディショナリティー(条件)は、IDA プログラムにおけるすべての融資および融資保証から最終的には削除されるべきである。そのかわりに、広範囲の社会的利益に資するように経済の方向転換を促す政策改革への財政的支援といったものにとってかわられるべきである。政策改革のプログラムは、国の特有の状況に適切するよう、地元住民の考え方および優先順位から派生し、また、これらを支援するものでなければならない。

 改善されたプログラムは、以下の点に資するべきである。1)労働者や小規模生産者の経済活動の場を拡大する;2)都市および農村地域の貧困層の生産活動の強化;3)小規模農家と起業家に対し土地、融資およびその他の生産活動のためのリソースへのアクセスを拡大することによって、広範囲の持続可能な食料生産を促進すること;4)女性の様々な経済的資源・財産へのアクセスと意思決定構造への参加の促進;そして5)地域の自立、広範囲の現地需要、労働者の権利、および賃金の拡大である。IDAが支援する経済改革はまた、「天然資源の乱開発の減少」、「制度的監視(regulatory oversight)の増大」、「エネルギーと水の最終利用効率の向上」、その他様々な方法で長期的な環境の持続可能性を確保することを目的とするべきである。構造調整プログラムは、受益国の一般市民の参加なしに、世銀およびIDA借入国との間で交渉されるべきではない。

2. 世界銀行の債務の救済
 発展途上国、とりわけアフリカ・サハラ周辺地域の重債務低所得国(SILIC)にとって、多国間債務は年々深刻な問題となってきている。多くのIDA対象諸国にとって、世銀分も含めた債務の重圧は、長期的な持続的発展と貧困の解消を妨げる直接的な障害となっている。したがって、これはIDA本来の目的に直接的かつ相反する影響を及ぼしており、当然、IDA11交渉でも協議されるべき問題である。

 発展途上国の債務のうち、世銀とIMFによるものは2,780億ドル(全体の約17%)にのぼる。アフリカ・サハラ周辺地域のIDA対象諸国の、多国間開発銀行(MDBs)に対する借金はこの地域の債務全体の23%を占める。現在のところIDAからの借入は、条件的には国際復興開発銀行(IBRD)のものほど厳しくはない。条件が緩やかというだけでなく、IDAへの債務返済の多くの部分はその開始が1990年代後半まで猶予されている。

 二国間の債務に関してはパリ・クラブ会議(債権国会議)の場で、貸手側が債務の帳消しと支払いの繰り延べに関する主導権を発揮した。それに対し、世銀や他のMDBsは包括的な債務救済や繰り延べ(リスケジュール)の検討を拒否している。世銀はIDA対象諸国に対し「五次元計画」(Fifth Dimension)とか「IDA債務削減ファシリティー」(IDA Debt Reduction Facility)とか銘打ったプログラムなどを始めた。これらは、IDA対象諸国のIBRD借款の利子支払いを助けたり、商業的な借款導入で当面の破綻回避を図るものだが、こうした施策を世銀への債務削減のための代替案とか、債務問題一般の解決策として考えることは避けるべきである。

 世銀は債務返済の問題について、最貧国へのIDA資金供与を増やす一方、同じ国々への新たなIBRD貸付を抑える事で対応してきた。債務の泥沼に陥った国々は、手早く支払いが行われるIDAを、IBRDや商業的な貸し手に対する債務の決済に使っている。IDAの資金をIBRDからの借入の元利返済に向けることは不適切であり、最貧国のMDB 債務問題の健全な解決策に寄与するものではないと、私たちは考える。そういった方法ではなく、世銀がその190億ドルに上る流動性準備資金を使ったIBRD債務救済策の研究と方策立案を開始することを私たちは提案する。

3.情報政策と市民参加
 IDA−10 期間中には、1994年改定の情報政策により、援助当該地域の住民やNGO、そして一般市民への情報提供の改善という一定の進歩が見られた。しかしながら、対象地域における住民の(融資)情報へのアクセスの現状が、依然として問題として取り上げられているのは、一つには、現在の政策の実施上の不備である。また同時に、1994年改定の政策に比べ、より包括的な情報公開の拡大が要請されているためでもある。

 1994年版の情報政策には、わずかな進歩は見られるが、計画および政策の立案への関係住民の実質的な意見参加を保証するには、まだ不十分である。計画実施要項や、いわゆる”黄色本”、”緑本”といわれるスタッフ評価報告(Yellow Staff Appraisal Report, Green Staff Appraisal Report)といった初期計画書類、あるいは立案期覚書き(Initiating Memorandams)といった構造調整計画書類などの情報が、時宜を逸する事なく入手できなければ、地域関係住民の側は、問題となる計画やプログラム/プロジェクトの見直し、方針変更、さらにもし必要ならば反対の意を、有効なかたちで表明することができない。プロジェクトが承認された後に最終スタッフ評価報告を発表するのでは、プロジェクトの設計、計画に対して市民がインプットを行うには遅すぎるのである。

  さらに、1994年政策のもとでは、プロジェクト準備における「実際的技術情報」の配布が世銀内部で適切に、かつ均等に実施されていない。また、「プロジェクト情報文書」(PIDs)の質が引き続き懸念されている。

  現在入手可能なサマリーの代わりに、プロジェクト・サイクルの終了時点で、世銀業務部の「プロジェクト完成リポート」および業務評価局の「プロジェクト履行監査リポート」が発行されるべきである。

 つまり、1)現行の情報政策を完全に実施すること、2)プロジェクトおよびプログラムに関する早期段階の書類、ならびにプロジェクト評価書類がすべて公開されるように政策の変更を行うことを、米国は促進すべきである。

4. エネルギー関連融資
 エネルギー分野に対するIDAの投資は、ダムや火力発電所のような環境を破壊する大規模なインフラ・プロジェクトではなく、最終利用効率、エネルギー保全および再利用可能性を指向すべきである。
IDAは、エネルギー保全と再利用可能なエネルギー源に関する確立された技術の利用による代替可能な供給オプション、および需要側オプションの双方を考慮した≪最小費用計画分析≫の充実により、≪最小コスト・エネルギー戦略≫を促進するべきである。これはIDA 10拠出国合意書で採択されたものの未だ世銀により履行されていないことである。従って、「最終利用効率・保全・再利用可能なエネルギー源に対する最小コスト投資に向けられるIDAのエネルギー関連融資の割合を、IDA 11を通じて50%増加する」という目標のもとに、このコミットメントは改めて体系化される必要がある。


注1)1980年代後半から90年代前半にかけて、構造調整貸付(SALs)は世銀による貸付の約4分の1を占めている。
注2)現在の委員は、議長のErnest-Gunther Broder(元・欧州投資銀行会長)、Richard Bissel(元・アメリカ国際開発庁上級職員)、Alvero Umana Quesada(元・コスタリカ自然資源大臣)。
注3)申し立ては地元のNGOや専門家グループの連合組織《アルン・コンサーンド・グループ(Arun Concerned Group)》が行った。この申し立てについては、昨年の12月16日に、独立調査パネルが「申し立て通り、再調査の必要がある」との勧告を理事会に提出、これを受けて理事会は今年の2月2日、パネルの勧告を承認する決定を下した。
注4)ブルース・リッチは長年に渡り世銀問題に取り組んできた専門家のひとりで、アメリカ議会や政府の政策にも大きな影響を与えてきた。
注5)実際には、IDA融資を受けている国のほとんどは、一人当りGNPが約800ドル以下の国々である。一方、クレジット・ワースネス(IBRD貸付を受けるに足る信用度)がある程度高い国は、IBRDとIDAの両機関からの借り入れが可能となる。このタイプの融資を受ける国は「ブレンド国」とも呼ばれ、インドや中国はその代表例。


≪本号の参考資料≫
白鳥正喜『世界銀行グループ』(国際開発ジャーナル社、1993年)
鷲見一夫『世界銀行―開発金融と環境・人権問題』(有斐閣、1993年)
世界銀行『世界銀行・年次報告1994』
Bruce Rich, Mortagaging the Earth: The World Bank, Environmental Impoverishment, and the Crisis of Development, (Boston, Massachusetts: Beacon Press, 1994)
Environmental Defence Fund,"Statement of Bruce Rich on behalf of Environmental Defence Fund, National Wildlife Federation, Sierra Club, Greenpeace before the House Committee on Banking and Financial Services, Subcommittee on Domestic and International Monetary Policy concerning the World Bank: Effectiveness and Needed Reforms", March 27, 1995.
World Bank, Resettlement and Development: The Bankwide Review of Projects Involving Involuntary Resettlement 1986-1993, (World Bank, April 8, 1994)
IDA, "The First Year of IDA 10: Review of the FY94 IDA Program", (October, 1994)
Dutch NGO Working Group, "Letter to the Dutch IDA Deputee on IDA-11 negotiations"
Friends of the Earth International, "Position Paper on the IDA-11 Replenishment", February, 1995.
Swiss Coalition of Development Organizations,"Replenishment Negotiations for IDA11"
Oxfam International,"Oxfam International Position Paper : Replenishment of IDA11"
"Statement on IDA-11 by Asian NGOs", released at the Asian Regional Meeting on IDA projects of the NGO Working Group on the World Bank, March 24, 1995.
Bread for the World, "Conditions for Bread for the World's Support for IDA" " International NGO Statement Regarding the Tenth Repleshment of the International Development Association (IDA)," 1993.
"International Development and Debt Relief Act of 1993," H.R. 3063), Report 103-411 , 103d U.S. Congress.  


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