12月3日に行われましたJICA環境社会配慮ガイドライン第1回改定委員会(以下、第1回改定委員会)におきまして、私たちNGO関係委員は、「『国際協力事業団環境社会配慮ガイドライン(仮称)に関する改定委員会』における委員の選定プロセスおよび委員会の進行形式に関する意見および要望」(別添)を提出いたしました。これに関しまして、第1回改定委員会での非常に限られた討議時間内では、私たちの要望に対する十分な討議および結論には至らなかったと考えております。
さらに第1回改定委員会におきまして、委員の選定、委員会運営予算の執行および委員会としての成果品の中身に関する権限を前提として、現委員長は役職を引き受けられたとの言及がなされました。しかし私たちNGO関係委員は、委員を引き受ける際にこのような合意事項について何ら承知しておらず、このことを前提とすることはできません。このような形で委員の権限が制限されることはあってはならないことであり、委員会運営予算の執行および成果品の中身については、委員の意見を十分反映する形で進められるべきと考えております。
したがいまして第1回改定委員会での議論を踏まえ、第2回改定委員会におきまして、特に以下の点に関し対処していただきますよう、貴事業団にご確認および要請いたします。
記
1 議長の設置と議事進行
・ 委員長という役職は廃止し、以下の役割を担う議長を設置していただきたい。
議長は各委員や参加者からの発言について論点の整理および議論が必要な点の明確化を行い、委員会による検討事項および回答の要請を国際協力事業団に伝達する役目を負うものとする。
議論の整理を適切に行うため、議長は環境・社会配慮の分野において専門的知識を有する者であるべきである。
委員会運営予算の執行、委員会の最終的な成果品(報告書等)の中身および委員の選定に関し、議長は決定権を有さないものとする。
・ 議事進行および時間配分に関しては、当日参加者の間での合意に基づくものとする。
2. 委員の選出
・ 第1回委員会で今回の委員の選定に関する懸念を挙げました通り(「『国際協力事業団環境社会配慮ガイドライン(仮称)に関する改定委員会』における委員の選定プロセスおよび委員会の進行形式に関する意見および要望」参照)、今後より効果的なガイドライン案の策定に向けて、環境社会配慮ガイドラインおよび政策などに豊富な経験および知識を有するNGO関係者を委員に加えていただきたい。
3.当日参加者
・ 前回の会議でも確認されたように、委員会の目的達成のために行う当日の委員以外の参加者の発言・文書提出は、委員と同様に扱うべきものである。このことをはっきりさせるためにも、JBICの研究会にならい、当日の参加者についてはオブザーバーではなく「当日参加者」と表現していただきたい。
4. 委員会の公開性
・ 委員会に参加できない人からの意見や情報を電子メールやファックス等で受け付け、毎回の委員会で共有していただきたい。
・ 委員会に提出された資料等は全てホームページで公開していただきたい。
・ 次回委員会での討議事項を事前にホームページで公開していただきたい。
5.実態把握の重要性
・ 私たちは、これまでどのような問題が生じてきたのか把握することが意味ある議論の前提であると考える。このため、審議の中で十分な時間をかけて実態把握に努めて頂きたい。
6. 日程
・ 第1回委員会において他の委員からも意見が出されたように、2003年3月までではガイドライン案に関する十分な議論ができないと考える。ガイドラインの策定について、2003年3月以降の期間の延長を行っていただきたい。
・ 委員会の開催は、テーマ内容に応じて柔軟に対応するものとし、必要に応じて回数を増やしたり、特別会合を開くなどの方法をとっていただきたい。
7. ガイドラインの改定に際する委員会の位置づけ
・ 委員会は貴事業団とは独立した立場から議論を行うものとし、貴事業団はこれを最大限尊重しガイドラインの改定に取り組んでいただきたい。委員会でなされた議論をガイドラインに反映できない場合はその理由を明らかにしていただきたい。
・ 委員会の報告書作成後、貴事業団が作成するガイドライン案との整合性をフォローアップするための場を設定していただきたい。
8 ガイドライン案のパブリックコメントの受付
・ 貴事業団が作成するガイドライン案は最低限日英2カ国語で作成し、HP等を通じて公開の上、国内外からのコメントを受けられるようにする。
・ 貴事業団が作成するガイドライン案の公開に当たっては、最低3ケ月間のパブリックコメントを受付け、加えて公開協議の場を設けていただきたい。
・ パブリックコメントや公開協議の場で出された意見に対する、貴事業団の対処方針は事前に公開し、外部意見を尊重する意志を明確に示して頂きたい。
石田恭子(「環境・持続社会」研究センター)
川村暁雄(APECモニターNGOネットワーク)
高橋清貴(日本国際ボランティアセンター)
西井和裕(フィリピン情報センター)
以上
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