【米国】
大気の保護・質の向上という目的で1955年に大気浄化法が制定され、以後数回の改正を経て、1990年改正で、オゾン層保護に関する条項(第W編)が加えられました。その中で、Fガスに関する規制を定めています。
オゾン層破壊物質の生産及び輸入の段階的禁止等を規定しています。冷媒フロンに関しては、カーエアコン用冷媒の回収を義務付け、その他のフロン使用機器は、故意の冷媒放出を禁止しています。
【欧州】
EU共通のフロン対策における法規制としては、2007年7月より施行された、いわゆるFガス規則とオゾン規則があります。
Fガス規則は、固定式冷凍空調機器に用いられるFガス(HFC、PFC、SF6。日本では代替フロン等3ガスとされているもの)を対象として、冷媒漏れ対策として定期点検(漏えい検査)や修理後点検、冷媒量・種類・追加冷媒量・点検/廃棄時の回収量等の記録義務、据付業者や漏れ検査作業員の技能訓練や資格認定について定めています。
オゾン規則は、CFC、ハロン、四塩化炭素、1,1,1-トリクロルエタン、メチルブロマイド、HBFC、HCFCの生産、輸出入、上市、仕様、回収、リサイクル、再生および破壊についての規制を定めています。
【ドイツ】
冷凍空調機器分野に関する独自の法規制として、オゾン層破壊物質に関する政令が2006年12月1日より施行されました。これにより、業務用冷凍空調機器について、稼働中の機器の冷媒漏洩率を充填量と設置時期ごとに制限しなければならないこととなっています。
【デンマーク】
Fガスを規制する法令が2002年8月に施行されました。これにより冷媒充填量10kg以上の冷凍空調機器について、HFC冷媒(HFC-134a、R-404A、R-507A)の2007年1月1日以降の使用を禁止しました。また、家庭用電化製品への使用を防ぐ目的で、150g以下の冷媒充填も禁止しています。
さらに、デンマークでは、温室効果ガス税(CO2税)が導入されていますが、2001年3月からは冷媒もその対象となりました。冷媒フロン類については購入時にCO2税に加え、KMOプログラム(冷媒の自主的な回収システム)に対するリサイクリング料約30DKK/kgと、消費税25%が課されることとなっています。
【ノルウェー】
1991年から温室効果ガス税が導入(1996年改正)されており、デンマークよりも税率が高くなっています。HFC冷媒の販売時に課税され、回収の際に還付されます。一方、HCFCに対しては課税がありませんが、販売時に補償金(4.5ユーロ/kg)が上乗せされ、回収時に全額返却されることとなっています。