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環境容量とは?
〜持続可能社会の実現へ:
環境容量と過剰生産・消費の変革〜

 

 

持続可能社会を実現するために、社会システムの入り口の所からコントロールする方法、出口の所からコントロールしようとする方法、そして生産システム改善ないしはトータルな生産・流通・消費・廃棄システムの改善を目指す方法など、様々なアプローチが始まっている(図)。

入り口の所からの一例としては、環境容量:エコスペースを算定して、それに基づく社会・生活システムの構築を目指すアプローチがある。出口の所からのアプローチに、究極の汚染防止として例えばゼロ・エミッション(廃棄物ゼロ)システムの構築を目指す動きなどがある。また、生産・流通・消費・廃棄システムの改善を目指す方法としては、環境管理、環境監査、LCA(ライフサイクル・アセスメント)分析などの動きがある。今のところ、それぞれが個別的にその手法を開発しているのが現状である。

ここではとくにエコスペースについて一言ふれておこう。これは入り口の所からの一種の総量規制的なアプローチで、世界的な環境保護団体「地球の友オランダ」が、92年の地球サミットに合わせて永続可能な社会のための基礎データ(環境のスペース)の概念をベースに発展してきた考え方である。つまり、将来の世代の資源利用の権利を犯さない限りでどの程度のエネルギー、水、その他資源の利用や消費活動、そして環境汚染が許されるのか、それを世界中の人々が公平に持ちうる一人当たりの利用の許容限度を環境のスペースとして算定した。例えば2010年には世界人口を約70億人とした時、オランダ人一人がどのくらいの資源や環境を利用できるか、その範囲内でライフスタイルや生産・消費の様式をどう変えていくか、アクションプランとしてまとめたのだった。その後、より一般的呼称としてエコスペース(環境・資源利用許容量:略称で環境容量)が使用されるようになり、環境・資源に関する地球的公正の考え方を定量化、具現化したものとして注目されだしている。

今後の世界で永続的発展を実現するための最大の課題は、過剰消費の拡大を続けている先進工業国(北)の発展パターンをどう具体的に軌道修正していくのか、その指針をつくり出すことであろう。その基本的前提は、南北間そして世代間の公平を考慮する地球市民としての地球的公正水準を共有していくことで、そのための実行プログラムをまず北側の人間たちが率先して持つことである。まさにアクションプランはその第一歩に向けての動きといえよう。再生可能資源と非再生資源の区別、設定範囲(地域)やタイムスケールの決め方、負荷をどう評価するか、基本的データ源、扱う対象、技術評価の点など、詳細に見た場合に検討すべき課題はあるが、具体的な問題提起としては非常に重要な試みである。

しかし、今の日本の社会では環境や資源の限界や地球的公正などといった考え方や動きへの関心が非常に低いのが実情である。経済超大国、巨大な貿易立国として世界の資源や環境に大きく依存している現状のプラス面のみに関心を向けて、マイナス面は見ようとせずに経済優先とくに市場経済システムを全面的に信奉する意識のみで行動しているからである。価格破壊や規制緩和の大合唱を見るように、経済至上主義を超えるパラダイムへと向かう気配は今のところほとんど感じられない。だが人類の未来を真剣に考えるならば、持続可能性指標、エコスペースや地球的公正などといったテーマこそ、真の国際貢献への道を先取りするものであり、いわゆる国際的な戦略・政策研究としていま一番求められていることではあるまいか。

→JACSESの環境容量レポート概要版

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