■地方環境税のあり方
◇税収中立な制度設計の検討
欧州諸国を中心に導入が広がっている環境税の多くは、環境負荷に課税し、その抑制をはかることに一義的な目的を置いています。税収に関しては、全額環境対策に使うのではなく、既存の税の減税に充て、税収全体は増やさないケースが少なくありません。
これに対し、日本の地方環境税は、基本的に税収を環境対策に充てる増税型です。それゆえ、環境税導入の前にまずは現行の財政支出を削減し、既存の税収の中から環境対策費用を捻出すべき、との反対論も説得力を持ちます。税収の全額を環境保全対策に充てる増税型の環境税ではなく、環境負荷に課税し、その税収はその他の税の減税に充てる「税収中立型の環境税」を検討することも重要です。
◇地方環境税の効果検証体制の確立
地方環境税に対しては、「集められる税金が有効に使われないのではないか」「環境保全効果がほとんどないのではないか」「経済・雇用や低所得者に悪影響を与えるのではないか」など、様々な疑念が寄せられます。環境税を導入する地方自治体は、環境保全効果向上、地域経済・雇用への悪影響回避、公平性担保のために、透明性・説明責任を徹底しつつ、環境税の制度設計の適正化をはかる必要があります。特に、税収使途を含む環境税の効果検証体制の確立が重要であり、第三者機関による評価を組み込むべきです。
◇地方自治体の包括的な税制改革の必要性と国の役割
税金に対する納税者の信頼は、非常に低くなっています。地方自治体には、包括的な税財政改革、特に財政支出の徹底的な削減が求められています。地方自治体が増税型の環境税の導入ばかりに努力を傾注するのは適当ではありません。それぞれの地域特性に合った環境保全型/低環境負荷型の産業の育成と雇用の確保、環境保全型/低環境負荷型の消費スタイルへの転換を進めるため、説得力ある包括的な税財政改革を実行できるかどうか、地方自治体は正念場を迎えています。
ただし、そのための努力を地方自治体だけに求めるのは、適当ではないでしょう。国は、地方自治体との税財政の関係改善に尽力し、国から地方への適正な形での税源委譲、国庫支出金改革の適正化等を実行することが必要です。
国・地方双方の努力が求められています。 |