リオ+20の開催は、2008年12月の国連総会において正式に決定された(国連決議64/236)。*1その後、準備委員会(Preparatory
Committee)、非公式会合(Intersessional Meeting)、地域準備会合(Regional Preparatory
Meeting)などが開催され、「持続可能な開発及び貧困根絶の文脈におけるグリーンエコノミー」と「持続可能な開発のための制度的枠組み」の2つのテーマに関する議論が行われた。また、2011年11月を期限として成果文書へのインプットの受付が行われ、各国政府
*2、国際機関、各ステークホルダー*3 など677の要望書が国連事務局に提出された 。*4これらをもとに、2012年1月に成果文書ゼロドラフトが作成され、具体的な交渉が行われた。
成果文書ゼロドラフト公開後、各国・各グループからの修正提案については、2012年1月23日までにセクションI〜II、1月29日までにセクションIII〜Vの修正提案受付が行われ、各国政府及び9つのメジャーグループ(企業及び産業、子ども及び青年、農民、先住民族、地方自治体、NGO、科学・技術者、女性、労働者及び労働組合)から修正提案*5
が提出された。
成果文書案の交渉は、1月25日〜27日の成果文書ゼロドラフト検討会合、3月19日〜23日の第1回成果文書交渉会合、3月26日〜27日の第3回非公式会合で行われた。2012年1月時点の成果文書ゼロドラフトは、わずか19ページの文書だったが、各国からの修正提案が加わり、3月末には206ページに膨れ上がった。
2012年4月以降は、4月後半〜5月上旬にかけての第2回成果文書交渉会合とリオ+20直前の第3回準備委員会で成果文書案の交渉が行われる予定である。
リオ+20に向けた国際的な準備プロセス:
- 2009年12月24日:国連総会で決議64/236が採択。リオ+20の開催が決定。
- 2010年2月21日:国連環境計画(UNEP)がグリーンエコノミーレポート*6 を発表。
- 2010年5月16日〜18日:第1回準備委員会会合が開催。
- 2011年1月10日〜11日:第1回非公式会合が開催。
- 2011年3月7日〜8日:第2回準備委員会会合が開催。目的とテーマに関する事務総長レポート*7 が提示される。
- 2011年9月〜12月:アジア太平洋地域、アラブ地域、アフリカ地域、ラテンアメリカ及びカリブ海地域で地域準備会合が開催。
- 2011年11月1日:成果文書へのインプット受付終了。
- 2011年12月15日〜16日:第2回非公式会合が開催。
- 2012年1月10日:成果文書ゼロドラフト*8 の公表。
- 2012年1月25日〜27日:成果文書ゼロドラフト検討会合が開催。成果文書のセクションI〜IIについて交渉。
- 2012年1月30日:地球の持続可能性に関するハイレベル・パネル(GSP)報告書が潘基文(バン・ギムン)国連事務総長へ提出
。*9
- 2012年3月19日〜23日:第1回成果文書交渉会合が開催。成果文書案のセクションIII〜Vについて交渉を実施。
- 2012年3月26日〜27日:第3回非公式会合が開催。成果文書案のセクションI〜Vについて交渉を実施。
- 2012年4月23日〜5月4日:第2回成果文書交渉会合が開催。
- 2012年6月13日〜15日:第3回準備委員会が開催。
- 2012年6月20日〜22日:リオ+20主要委員会。成果文書は22日午後に採択予定。
リオ+20国内準備委員会の準備プロセス:
- 2011年7月13日:リオ+20国内準備委員会設立会合・1次会合が開催。
- 2011年9月1日:リオ+20国内準備委員会第1回ワークショップが開催。
- 2011年8月23日:リオ+20国内準備委員会2次会合が開催。
- 2011年9月14日:リオ+20国内準備委員会3次会合が開催。
- 2011年10月2日:リオ+20国内準備委員会第2回ワークショップが開催。
- 2011年10月11日:リオ+20国内準備委員会4次会合が開催。
- 2011年10月31日:リオ+20国内準備委員会がリオ+20成果文書に対する日本のステークホルダーからのインプット「持続可能な開発の推進に向けた日本のステークホルダーからの提案」を国連事務局へ提出。
- 2012年2月1日:リオ+20国内準備委員会5次会合が開催。
脚注:
- リオ+20の準備プロセスは、以下に詳細が掲載されている。
http://www.uncsd2012.org/rio20/index.php?page=view&type=12&nr=281&menu=32
- 10月31日、日本政府は、「国連持続可能な開発会議(リオ+20)成果文書への日本政府インプット」を提出した。日本政府インプットでは、グリーン経済への移行に向けての道程を提案しているほか、日本として深い知見を有する9つの主要セクターに関する提案を行っている。制度的枠組みに関しては、組織の改編を前提とすることなく、現在の問題点を明確にした上で対応策を検討することを強調している。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/23/10/1031_05.html
- リオ+20は、メジャーグループ(国連における政府・国際機関以外の参加グループで、企業及び産業、子ども及び青年、農民、先住民族、地方自治体、NGO、科学・技術者、女性、労働者及び労働組合の9つのグループ分けがされている)の参加が重視されており、各グループの調整機関としてステークホルダーフォーラムが設置されている。
http://www.stakeholderforum.org/sf/
- 日本においては、国内のステークホルダーの対話の促進を目的として、2011年7月13日にリオ+20国内準備委員会が設立され、4回の会合と2回のワークショップを経て、10月31日に国連事務局にインプット「持続可能な開発の推進に向けた日本のステークホルダーからの提案」を提出した。キーメッセージとして、持続可能な開発の4本目の柱として「文化」を加え重層的な取り組みを進めること、持続可能な開発は「社会」的公平性の下、確固たる原理・原則の下で進めること、持続可能な開発に必要な「経済」基盤を一刻も早く安定化させること、自然「環境」保全と自然資本の持続可能な利用に向けた仕組みを国際的に構築すること、多様な価値観を認識してすべての人が平等に参画し、連携できる仕組みを構築すること、などが提起された。
http://www.mri.co.jp/SERVICE/rio20/nr20111101_rioj.pdf
- 成果文書ゼロドラフトに対するメジャーグループの修正提案は以下参照。
http://www.uncsd2012.org/rio20/resources_mgcomments.html
- 国連環境計画(UNEP)のグリーンエコノミーレポートでは、「グリーン経済への移行は年間2%の世界GDP(現在約1.3
兆ドル)を今から2050 年までの間投資することによって、農業、建設業、エネルギー業、漁業、林業、製造業、観光業、運輸業、水資源および廃棄物管理に関する事業の主要分野を環境に優しいものへ移行することが可能である」と結論付けている。
http://www.unep.org/greeneconomy/GreenEconomyReport/tabid/29846/Default.aspx
- 正式名称は「事務総長レポート・国連持続可能な開発会議の目的とテーマ」。グリーンエコノミーを実現する政策として7つの柱(グリーン刺激策パッケージ、環境効率性向上策、民間市場と政府調達のグリーン化、グリーン・インフラストラクチャーへの投資、自然資本の再生と強化、価格適正化、環境税制改革)が提示され、制度的枠組みについては、国連環境計画(UNEP)の専門機関への格上げ、持続可能な開発委員会(CSD)の理事会への格上げなどの制度オプションが提示された。成果文書ゼロドラフトの内容のベースになっていると考えられるが、グリーンエコノミーの政策オプションについては、成果文書ゼロドラフトの方が内容の具体性が低くなっている。
http://www.uncsd2012.org/rio20/content/documents/N1070657.pdf
- 成果文書ゼロドラフトは、環境省仮訳が公開されている。
http://www.mri.co.jp/SERVICE/rio20/zerodraft.pdf
- 地球の持続可能性に関するハイレベル・パネル(GSP)は、潘基文(バン・ギムン)国連事務総長のイニシアティブにより2010年8月に設置。パネル・メンバーが個人の立場から持続可能な開発を達成するためのビジョンと具体的提言についてまとめたもの。GSPの報告書は、リオ+20への重要なインプットとなることが期待されている。グリーンエコノミーについては、持続可能な開発のビジョンを達成するための包括的アプローチを提供するものと位置付け、技術革新の重要性、省エネ技術・再生可能エネルギーの促進、グリーン雇用、グリーンエコノミーの各国予算・戦略における主流化などが提起されている。また制度枠組みについては、持続可能な開発に関する情報を集約するアウトルック報告書の作成や、持続可能な開発を総合的に扱う理事会を国連総会の下に設けることの検討といった提言を行っている。持続可能な開発に関する具体的目標の策定を提言している。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/24/1/0131_01.html
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