■書籍発行の目的
カーボン・マーケットおよびCDMは、気候変動に対処するための市場・経済の仕組みを構築しようとする試みであり、気候変動問題解決の大きな鍵となる可能性があります。しかし、一方で、サブプライムローン問題のような過度・不適切なマネーゲームを促進し、実体経済の担い手が報われず、気候変動対策や世界経済の混乱要因となる危険性もあります。カーボン・マーケットおよびCDMの現状を極力正確に把握し、その利点と欠点の双方を見据えた冷静な議論・制度構築を促すことが本書発行の目的です。
■書籍の紹介
カーボン・マーケット、CDMに関しては、可能性や積極的活用について議論が行われ、活用者のためのマニュアル本などが出版されております。しかし、活用そのものを問い、課題や今後について多様な角度から論じた良書はそう多くみあたらないのが現状です。本書では、そうした不足部分を埋める努力をいたしました。
また、カーボン・マーケットとCDMと密接に関連する、気候変動の国際枠組(条約)のあり方、途上国における温暖化対策・持続可能な発展を実現するための日本・先進国の国際協力のあり方、カーボン・オフセットも含めた日本・先進国の国内の温暖化対策・政策のあり方等に示唆を与えるものにもしております。
カーボン・マーケット、CDMに関与していらっしゃる方々のみでなく、語彙集もつけておりますので、それも参考にしていただき、初心者の方も含め、気候変動対策/政策・国際関係・国際協力・開発問題・金融市場・資本主義のあり方などに、関心をお持ちの方々にもご拝読いただけますと幸いです。本書が、カーボン・マーケットおよびCDMについてのより深化した議論や実効性ある気候変動防止のための諸政策や活動の推進に多少なりとも貢献できれば幸いです。
■目次
序章:世界が低炭素社会へ向かう道筋とは? 古沢広祐(國學院大學教授)
1章:クリーン開発メカニズムの現状と課題 明日香壽川(東北大学教授)
2章:CDMと持続可能な発展 古沢広祐
3章:CDMのプロジェクト地域とタイプの偏在 井筒沙美(ナットソース・ジャパン)
4章:ゴールド・スタンダードの有効性と課題 山岸尚之(WWFジャパン)
5章:カーボン・オフセット 西俣先子(國學院大學非常勤講師)・足立治郎(JACSES)
6章:CDM、カーボン・マーケットの適正化 足立治郎・西俣先子
【コラム執筆者】
・ODA・多国間開発銀行をウオッチしてきたNGO 田辺有輝(JACSES)
・“京都議定書”の検証はCOP3京都会議ホスト国の責任−2013年以降の国際枠組みが真の排出量削減につながるために− 黒坂三和子(JCSD)
(なお、本書は、多くの客観的なデータと多様な見解の提示に努めており、各章・コラムは、独自の見解を提起していますが、必ずしも統一見解にもとづいて展開されているものではありません。)
■書籍購入について
購入方法:最寄の書店、または直接JACSES書籍購入フォームにて
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担当: 足立治郎
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