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持続可能な社会の実現に向けた「公的資金」に関する日米政策提言

T 序論
 持続可能な開発と公的資金 〜全体的展望と位置づけ:地球的共生の戦略を求めて〜
−古沢広祐 (JACSES:日本)

U 国内公的資金
 1.Environmental Taxation in the United States
−アンドリュー・ホーナー (Redefining Progress:米国)−

 2.「日本の税制・財政改革」
−足立治郎 (JACSES:日本)

V 国際協力資金
 1.An American Perspective on Public Funding and International Sustainable Development
−リチャード・フォレスト (Pact Institution:米国)

 2.日本のODAと「持続可能な開発〜地球サミット以降10年の政策を振り返って〜
−石田恭子 他 (JACSES:日本)

 

JACSESでは、2003年8月2日(土)〜5日(火)にかけて、
連続シンポジウム/公開勉強会を開催しました。

 「持続社会と資金」ウィーク2003 企画一覧
 企画趣意書


○ 「持続社会と資金」ウィーク 企画一覧

各シンポジウム・公開勉強会については、→ 詳細をクリック!

国際シンポジウム
「市民社会が問う開発援助の責任
 〜ODAへの異議申し立て制度を考える〜」
    共催 : メコン・ウォッチFoE-Japan、JACSES
日時 : 8月2日(土) 10:00 〜 17:00
会場 : YMCAアジア青少年センタースペースY
 
→ 詳細
国際シンポジウム
「炭素税・エネルギー税と国際連携」
  主催 : JACSES  協力 : 炭素税研究会
日時 : 8月2日(土) 18:00 〜 21:00
会場 : YMCAアジア青少年センタースペースY
 
→ 詳細
国際シンポジウム
持続可能な開発と公的資金
  〜ヨハネスブルクサミットから一年〜」
  共催 : JACSES、PACT instituteRedefining Progress
日時 : 8月3日(日) 10:00 〜 18:00
会場 : YMCAアジア青少年センタースペースY
 
→ 詳細
公開勉強会
「開発援助の役割と周辺住民への影響
 〜第三期チャシュマ右岸灌漑プロジェクト(パキスタン)のケースから〜」
 

主催 : JACSES
日時 : 8月5日(火) 18:30 〜
会場 : 環境パートナーシップオフィス(EPO) セミナールーム
 

→ 詳細

○ 「持続社会と資金」ウィーク 企画趣意書

持続可能な開発と公的資金 −地球的共生の戦略を求めて− 】

〜〜〜 国際シンポジウム・勉強会の意図とねらい 〜〜〜

「環境・持続社会」研究センター 事務局長  古沢 広祐

本シンポジウムは、リオ・地球サミット(1992)そして昨年のヨハネスブルグ環境開発サミットを受けて、停滞と混迷状況にある「持続可能な発展・開発」への戦略的道筋をさぐることを目的とする(注1)。

約10年前のリオ・地球サミット当時、冷戦体制下の東西対立が終焉し、時代は地球環境や貧困という人類最大の課題に一丸となって取り組む大きな潮流が生まれていた。巨額の軍事費の削減など、平和の配当への期待も高まり、まさしく地球環境問題や貧困解決に取り組む新たな時代の到来を予感させた。しかし、その後10年余りを経て、時代状況は大きく後退している。世界的に見てもヨハネス・サミットへの注目度は低かった。開発分野での貧困撲滅への先進諸国の取り組みにも大きな進展はなく、環境分野での温暖化防止(気候変動)への取り組みなども大幅におくれている。世界情勢は、南北間格差の増大、貧困の深刻化、民族紛争、内戦激化、軍事化の脅威など、大きな社会的な歪みや環境悪化への危機が高まっている。

今日、「持続可能な発展」の基本軸である発展パターンを「環境的適正」と「社会的公正」によって調整する道筋が、先進国でも途上国でも十分な展開を見せていない状況にある。こうした事態を打開するために、私たちは新たな展開が必要だと考える。大状況的には、危機的な状況を内在するグローバル社会において、持続可能性を実現するために、国内的変革と国際的な協力・協働をリンクさせるグローバルなスケールでの抜本的な戦略が求められている。具体的な取り組み内容については、グローバル社会への対抗戦略としてさまざまな分野での可能性が考えられるが、本シンポジウムでは、NGOとして比較的身近で政策対応の関わりが深い公的資金分野に焦点を当てた問題提起を試みたい。

現在、先進国の財政圧迫状況が進む中で、資金繰りの改革が叫ばれ、公共事業などの開発政策や産業政策の根本的な見直しが求められている。すなわち、これまでの環境破壊的な巨大開発や資源浪費的な大量生産・消費パターンを変革するために、持続可能な社会づくりのための政策変革、そのための第一歩になる税財政変革(税財政のグリーン化:炭素税、廃棄物税導入など)が必要とされているのである。さらに、こうした持続可能性を目指した資金運営改革は、グローバル社会では国内的に閉じられた政策として発想するのではなく、途上国の持続可能な発展を促すODA政策とリンクさせることで地球規模での複合的相乗(シナジー)効果が期待できる。

 他方、途上国側の現状を考えると、リオ・サミットの約束であった途上国への資金協力(ODA)は、対GNP比の0.7%目標の半分レベルに停滞している。その背景には、先進諸国の援助離れ(援助疲れ)や財政状態の悪化、途上国のガバナンス問題(不適切・非効率な運用、汚職)などが指摘されている。また途上国においては、いまだ従来型の開発援助資金の不適切な適用や巨大開発プロジェクトの弊害が続いている。資金協力と具体的な開発プロジェクトを真に持続可能な中身とする政策が求められているのである。差し迫っての具体的展開の一つとして、ODA政策、プロジェクト・開発資金のモニタリング、インスペクション機能を改革・充実させていく必要がある。

今日、米国と日本は経済規模(GDP金額)、ODA規模において、世界1・2位の位置をしめている。しかし、その経済規模にまさしく匹敵する資源利用(浪費)と環境負荷・廃棄物(CO2等含む)を生じている。(注2)さらに、グローバルな視点からの社会的公正をめざす貧困削減への取り組みについては最下位レベルにとどまっている。(注3)こうした現状認識をふまえるならば、経済・資金・開発・援助政策のあり方を抜本的に変革するグローバル戦略が、とりわけ日米両国において切実に求められていることは疑う余地はない。

問題解決のすべてを示すことは困難だが、本シンポジウム・勉強会では、そのほんの第一歩として、日本そして欧米諸国において税財政システムを軸としたグリーン化(サステイナブル化)に取り組むことの重要性を提起したい。そして、先進諸国のこうした国内的調整による持続可能性実現のための資金体制の構築と並行して、その資金を、国内のみならず国際的に持続可能な発展に結びつけて有効活用できる仕組みづくり(ODA政策、モニタリング、インスペクション等)を検討していきたい。

 

(注1) ヨハネスブルグサミットで合意した「実施文書」Iー1,2 、IIIー13,14

外務省ウェブサイト : http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/wssd/
国際連合ウェブサイト : http://www.johannesburgsummit.org/html/documents/summit_docs.html

(注2) エコロジカル・フットプリント(環境負荷の総合指標)による各国比較

http://www.redefiningprogress.org/media/releases/021125_efnations.html
 NEW REPORT OUTLINES THE ECOLOGICAL FOOTPRINT OF 146 NATIONS
 Humanity's Consumption Exceeds the Earth's Biological Capacity by 20 Percent
http://www.redefiningprogress.org/media/releases/001205gpi.html
・・・・Last year's update shows that, despite rapid GDP growth, the quality of life for many Americans continues to decline in key respects, largely due to dramatic increases in income inequality.

(注3) MDBs Update 03/04/29--ODA--

◆日本は21カ国中最下位 貧困問題対応で米誌 (共同通信ニュース速報)
 【ワシントン28日共同】米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」は二十八日、途上国の貧困問題解消に向けた先進各国の取り組みに関する総合評価を発表し、日本は二十一カ国中で最下位、米国も二十位と低い評価を受けた。
政府開発援助(ODA)実績では上位二位を占め「援助大国」といわれる日米両国だが、移民受け入れ策や環境政策への低い評価が響いた。
総合評価の首位はオランダで、デンマーク、ポルトガルが続いた。先進七カ国(G7)で上位十位に入ったのはドイツ(六位)だけだった。 調査にはワシントンのシンクタンク、世界開発センターや国際経済研究所(IIE)などが協力。途上国の輸出品に対する市場開放度や平和維持活動への貢献など六項目で評価した。
http://www.foreignpolicy.com/story/story.php?storyID=13656

 

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